香りはどこから?ワインの香りをカテゴリー、超探求せよ!

香りはどこからやってくるのか?
グラスに注いだワインから漂う魅力的な香りは、どんな種類が思い浮かびますか?今回は、香りの中からフルーティ、フローラル、スパイシー、ウッディなどの主要なカテゴリーに分類して考えてみました。
それぞれの香りの由来についても書いてみます。
ブドウ品種、醸造プロセス、熟成などが香りにどのように関連しているのかを探求してみましょう。
結論から言えば、これらの香りはブドウそのものの香りがワインの香りになる場合と、ワインになるとその品種に特徴的な香りを発揮する場合があります。
ワインには非常に多くの種類があり、その多彩なワインの特徴を伝える方法として「ワイン用語」が使われています。
商品説明などで見かける独独の言い回しは、こうした味わいや状態を伝える目的があったのです。
その言い回しの中には、ブドウの特徴を伝える評価用語と、状態やその原因を示す品質用語があります。
この用語に関しては、また別の機会にまとめてみようと思っています。
まずは、主要となる4つの香りを見ていきましょう…
フルーティー(果実の香り)
フルーティな香りは、ワインを作るときに使ったブドウの品種や成熟度によって生じます。異なるそれぞれのブドウ品種からは、例えば白ブドウでしたらレモンなどの柑橘系~リンゴ、桃や花梨などの大きい種が入った主核系、トロピカルフルーツのニュアンスを持っています。
ブドウ品種そのものに含まれる香りといえば、コンコードやナイヤガラなどのアメリカ系ブドウ品種から作られるワインを飲んだことがあるでしょうか?ファンタグレープというジュースの香りといえばわかる人も多いと思いますが。あの特徴的な甘い香気成分もブドウ品種そのものに含まれているものです。
また、ワインには糖分がアルコールに代わる過程で、エステル化合物が生成されます。この化合物はフルーツのような香りがするのです。例えば、イソアミルアセタートはバナナやメロンのような香りをもたらします。
香りの形成は発酵や醸造プロセスの際に獲得されます。
発酵中にブドウの皮や種子から抽出されるフェノール化合物も、フルーティーな香りに寄与します。特に、アントシアニンやフラボノイドが果実の香りを引き出します。これらの化合物は、ブラックベリーやチェリー、ラズベリーなどの香りをもたらします。
発酵温度の管理も重要な役割を果たしています。
ワインのラベルを見たときに時々、何度で管理して発酵を行ったなどの記述されていることがあります。低温の発酵は、フレッシュでフルーティーな香りを促進し、高温の発酵は、より成熟した果実の香りを引き出すことがあります。
酵母株の選択も、大きな影響を与えます。
特定の酵母株は、特有のフルーティーな香りをもたらすことがあります。例えば、シャルドネなどの白ワインでは、果実の香りを引き出すために特定の酵母株が使用されることがあります。
醸造プロセスの中でも果実の香りを引き出すための工夫が行われます。
冷浸漬(マセラシオン・プレフロイド)や冷温発酵は、果実の香りを保持しやすくする方法です。一方、果皮との果汁を適切な時間触れ合わせるスキンコンタクトや酸素が穏やかに透過するオーク樽の使用は、より複雑なフルーティーな香りを形成することができます。
さらに、熟成の過程でもフルーティーな香りは変化します。
酸素に穏やかに触れる木製樽を用いたりしてワインを酸化させたりすると、フルーツの香りがより複雑で成熟したものに変わっていきます。さらに、瓶内熟成期間を経たワインには適切な期間の中でエステルなどが還元と分解を繰り返し、タンニンや酸味、フルーツの風味が調和したものに変化してくることがあります。
ワインの醸造におけるフルーティーな香りの形成は、このようにブドウの品種選択や醸造プロセスの選択、熟成方法の選択などの要素によって多岐にわたります。ワインメーカーは、これらの要素をバランスよく組み合わせることで、個性豊かなフルーティーな香りを持つワインを生み出しています。
フローラル(お花の香り)
フローラルな香りとは、花やハーブの香りを思わせる香りです。
興味深いことにブドウ品種によって異なる花の香りが現れます。ゲヴュルツトラミネールやヴィオニエなどの白ブドウ品種は、ローズやジャスミンの花のような花の香りを持つことがあります。また、醸造プロセス中にフローラルな香りが発生することもあります。
発酵時の芳香化合物が香りをもたらすこともあります。
例えば、バラの香りがするゲラニオールやスズラン、ラベンダー、ベルガモット様の芳香をもつリナロールなどのマスカット香(テルペン香)の存在で知られています。これらの化合物は酵母によって生成される場合もあります。
醸造プロセスでも例えば、低温で行われる発酵はこの香りを保持する傾向があります。
また、ブドウの皮や種子を接触させるスキンコンタクトやマセラシオンもまた、香りを引き出すことがあります。
ワインの熟成も影響を与えています。
特に白ワインやスパークリングワインの場合、瓶内熟成によってフローラルな香りがより複雑になるこことが知られています。
一般的に、ワインが作られてまだ若い状態にはフルーツやフローラルな香りが強く出ると言われています。
スパイシー
スパイシーな香りは、香辛料やハーブの香りを想起させます。代表的なものにクローブ、シナモン、黒胡椒などが挙げられます。
ブドウ品種自体がスパイシーな香りを持つこともありますが、樽熟成や瓶内熟成によっても増強されることがあります。詳しく説明していきます。
ブドウ品種からの代表的なスパイスの香りは、ピパーネスやクローブ、ペッパー系(黒胡椒・白胡椒)が挙げられます。これらは シラーズやヴィオニエ、カベルネ・ソーヴィニョン、グリューナー・フェルトリーナーなど、胡椒のようなピリッとした辛味や風味を感じる特徴を示します。これは、ワイン中の特定の化合物によってもたらされます。
またここでも、醸造プロセスや熟成過程でも影響を受けます。
醸造プロセスでのアルコール発酵時の温度管理は、ワインの香りに大きな影響を与えます。適切な温度管理が行われると、一部の酵母株がスパイシーな香りを形成することがあります。 酵母株の選択もまた、ワインの風味や香りに重要な役割を果たしています。
ウッディー
ウッディな香りは、木材や樽からの香りを感じさせます。特に樽熟成したワインは、バニラやトーストのような香りを持ちます。ワインの熟成には、樽熟成をするものとボトルの内で熟成するものがあります。
樽熟成をする場合、樽に使われる木材の種類によってバニラやココナッツの香りをつけることができます。ワイン樽は制作時に内部をバーナーなどでローストして焼き作りますが焼き色の強さも様々あります。産地や生産者の考え方もありますが、スパイス香としてはシナモンや燻製香、コーヒーなどの香りとして表れてきます。
樽の香りも強ければよいというわけでもありません。生産者は出来上がるワインを想像し全体のバランスを見ながら、様々な樽を使い分けたりしているようです。
終わりに
それぞれの香りの由来を理解することは、ワインの選択や楽しみ方に役立ちます。
ここで見たような独特なワイン用語はショップでのワイン選びなどで、実際にテイスティングをしなくてもある程度味のタイプを想像するのに役立つようになります。また味わいの中に、どんな特徴を持っているかはこの先のどんな料理に合わせたらいいだろう?などフードペアリングなどでも活用できるようになってきます。
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