ペアリング冒険の書:魚とワインとのマリアージュガイド

おさかなとワイン、これほどワインの繊細さを知る良い組み合わせです。しかし、ワインペアリングは決してすぐ実践できるものではありません。今回は、おさかなとワインの相性を探り、極上のペアリングを楽しむためのガイドをお届けします。おさかなの種類や調理法、そしてソースとの組み合わせに焦点を当て、味覚の冒険出かけます。

基本編はこちらから

ワインと魚:組み合わせの基本

魚とワインの組み合わせは味覚の冒険です。魚の種類や料理法によって、ベストな相棒が異なる点からもそうです。まず、覚えておきたい基本は、白ワインと魚は相性が抜群であることです。

白ワインは魚の脂肪と調和します。注意が必要なのが、通常の赤ワインは魚とのペアリングを控えるべきだということです。赤ワインに含まれるタンニンが魚の油と絡むことで、不快な金属的な余韻を残すことがあるからです。改善策として、低タンニンのワインを手に入れることで、この問題は解決することもあります。

これらの基本原則を踏まえつつ、ワインと魚の美味しい出会い方を見つけましょう。

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魚の個性に応じたワインの選び方

チキンやステーキ肉の際にも触れましたが、お魚もまたその種類や仕立て方によって合わせるワインが変化します。まずは、お魚を4つの主要なグループに分けてみましょう。これらの分類は、触感、身の付き方、味わいの強さ、そして脂や塩気の強さなど、さまざまな要素から考えました。

①軽くてフレーク状の魚

最初に登場するのは、軽くてフレーク状の魚たち。これらの魚は穏やかで、口に入れるとフレーク状にほどけるような食感を楽しませてくれます。身は繊細で風味も穏やか、まさに優雅な存在。スズキやヒラメなどがこのグループです。こうした魚には、シャープで爽やかな白ワインが良く合います。

②中程度のテクスチャーの魚

次に、中程度のテクスチャーを持つ魚たち。これらの魚はフレーク状よりもしっかりとした歯ごたえを持ち、よりリッチなソースや材料にも対応できます。マスやニジマスがその代表です。香り高く、オーク樽で熟成したフルボディの白ワインが、こうした魚料理との相性を引き立てます。

③肉厚な魚

肉厚でステーキのようなテクスチャーを持つ魚も一緒に舞台に登場。マグロやカジキがこれに該当します。しっかりとした風味と歯ごたえを楽しむことができるこのグループには、風味豊かな白ワインや、時折赤ワインも視野に入れるのが良いでしょう。

④強烈な風味の魚

最後に、塩気と海の風味が強烈な魚たち。アンチョビ(カタクチイワシ)やハーリング(ニシン)がここに所属します。これらの魚は通常、白ワインが選ばれますが、新たな試みとして赤ワインもおすすめです。シャンパーニュ、クレマンなどのスパークリングワインや辛口のランブルスコ、ロゼ、ピノノワールが、これらの強烈な風味と対等に渡り合うでしょう。

魚の調理法&ソース:フードペアリング

おさかなとワイン、これらの組み合わせは調理法やおさかなの種類によっても異なる一大スペクタクルが広がっています。各ソースに合わせたワインの選び方を具体的に見ていきましょう。

爽やかなソースとの組み合わせ

「爽やかなソース」は、魚の軽くてフレーク状のテクスチャーと絶妙な相性を持ちます。ソースの酸味が魚の爽やかな風味を引き立て、かるい触感が口の中に広がります。そこで提案したいのはサヴィニョン・ブランやミュスカデ、コルテーゼ・ディ・ガヴィ、ヴェルデホ、ヴィーニョ・ヴェルデ、ホワイト・ボルドー、グルナッシュ・ブランなどのワインが候補です。これらのワインは特にハーブの香りが感じられ、口の中での調和を生み出します。例えば、サヴィニョン・ブランは爽やかな酸味と共にフレッシュな香りがソースと味の一体感を醸し出し、グルナッシュ・ブランは軽めの香りが魚の持つライトな風味と調和します。

甘いソースとの組み合わせ

パイナップル、マンゴ、オレンジ、照り焼き、甘酸っぱいソース。こうしたソースは中程度のテクスチャーの魚、例えばサーモンやマスと相性抜群です。ソースの甘味と魚の旨味が調和するため、そのバランスを保つのは、甘さと酸味のあるシュペートレーゼ・リースリングなどの甘さが残るワイン、濃い色調(セニエ法)のロゼワインも適しています。これらのワインは、ソースよりもやや甘さがあるものを選択することがポイントです。ソースのフルーティーな要素と旨味のある魚、そこに甘さと酸味のバランスをワインが取り持ち、口中で絶妙なバランスを与えてくれるはずです。

スパイシーなソースとの組み合わせ

「スパイシーなソース」は、その豊かな風味で肉厚な魚や強烈な風味の魚(マグロ、カジキ)にマッチします。ソースは、パプリカ、胡椒、クミン、コリアンダー、チリ風味のソースなどが例です。グリュナー・フェルトリナーやゲヴュルツトラミナーなど芳醇な香りがスパイスの効いた食事のキャラクターに挑発的に調和することでしょう。そのほかの選択として、リースリング、軽めの赤ワイン、例えばグルナッシュなどのスパイスの効いたワインが合うことも考えられます。

カレーソースとの組み合わせ

「カレーソース」には、やや甘口のワインの出番です。甘口のリースリングやモスカート、ゲヴュルツトラミナー、プロセッコやアスティーなどが、タイカレーやインドカレーソースの香辛料やバターやココナッツミルクなどの甘みを引き立てます。カレースパイスとの複雑な味わいが、口いっぱいに広がり不思議な調和が楽しめ、フィニッシュには清涼感が包み込んでくれるでしょう。

ハーブソースとの組み合わせ

「ハーブソース」は、ハーブの香りが感じられるワインが最適です。例えば、サヴィニヨン・ブラン、シャブリ、グルナッシュ・ブラン、トロンテス、トレッビアーノなど、ハーブの香りと相まって織り成す調和が素晴らしいです。ワインは、あまり強くないキャラクターのものが繊細なハーブの清涼感の世界観を保つ役割を果たしてくれるはずです。ハーブソースには、バジル、パセリ、ミント、コリアンダー、ディル、ケイパーなどがイメージしやすいでしょうか。

スモークサーモンやトラウトとの組み合わせ

スモークしたサーモンやトラウト(マス)には、ガルナッチャ(グルナッシュ)ロゼ、ヴィンテージシャンパン、ロゼスパークリングワイン、ドライリースリング、ドライフルミント(トカイ)、ホワイトピノノワール、ホワイトサンソーなどがよく合います。この組み合わせは、ワインの酸味が美しく感じられ、豊かな風味と独特の燻製香がそれぞれと面白い調和をします。例えば、ガルナッチャロゼはその淡いピンク色の飲み物から想像される赤系果実のフルーティー味わいですが、スモークサーモンの旨味と甘さ、独特なスモーク香などキャラクターを引き立ててくれます。ヴィンテージシャンパンやロゼスパークリングワインは、細かく繊細な発泡とフルーティーな味わい合わさることで、食事の繊細な風味を華やかにして演出してくれます。リースリングやフルミント(トカイ)は辛口を選択することで、スモークサーモンの旨みを、ホワイトピノノワール、サンソーはその黒ブドウ由来からくる豊かな果実味と酸味とのバランスが、最良の組み合わせになることでしょう。

お刺身との組み合わせ

「お刺身」には、スパークリングワインや極辛口の白ワイン、鉄分が含まれていないくて酸味があり、香りが穏やかなワインが最適であるため、ミュスカデ、アシルティコ、ヴィーニョヴェルデ、アルバリーニョ、ドライフルミント(トカイ)、ウニブラン(別名トレッビアーノ)、辛口の甲州などがおすすめです。これらのワインは、お刺身の鮮度や繊細な風味や旨味を邪魔しないこと、ワインの酸味が新鮮な味わいとなり、適度なアルコ―ル分が揮発するように口に広がります。

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おわりに

さて、ワインとおさかなの組み合わせをあなたも、一度試してみてください。異なるテクスチャーや風味が織りなすペアリングは、食卓に新たな魅力を加え、その時間を一層楽しいものにします。お気に入りのおさかなに合わせたワインを見つけるのもすごく楽しいことです。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得