ワインとフードペアリング実験:レシピ、目的、方法、結果、考察
ワインのペアリングは、食べる楽しみをさらに高め、新たな発見ができる体験です。しかし、どのワインがどの料理にマッチするんだろう?と、初心者にとっては一筋縄では難しいものです。そこで、この記事ではワインと食事のペアリングについて、科学的なアプローチを用いて探求します。
ご自身の環境でいくつかの試してみるべきレシピを確認したうえで、ペアリングを体験検証してみてください。



目的:ワインと食事の相性を知る
ワインと料理の組み合わせは、それぞれの味覚要素が相互作用することに基づいており、この相互作用を理解することが重要です。体験として、何度か実験と称した組み合わせを通じて、楽しむためのアイディアを確認していきます。
主要な味覚要素(概要)
味わいには甘味、酸味、塩味、苦味、脂肪、旨味といった主要な味覚要素が含まれています。これらの要素が食事との相性に影響を与え、特定の料理との組み合わせにおいて、ワインの風味が際立つか、料理と相互に調和するかが決まります。具体的な説明はこのあとの項で触れていきます。
実験のための食材とワインの選定(概要)
ペアリング実験を成功させるためには、適切な食材とワインの選定が不可欠です。このセクションでは、実験のために使用する食材の選定基準を説明します。
食材は主要な味覚要素を際立たせるように用意する必要があります。また、4つの異なるワイン(白、赤、スパークリング、甘口)の選定理由についても組み合わせをお示しします。これらの指針に従って、実験が効果的に体験できると幸いです。

方法:食材とワインの選択
これから食材とワインのペアリングを実体験するべく、準備を始めましょう。
そこには8つの異なる食材と4種類のワイン(赤、泡、白、甘口)を使用して、食事とワインの組み合わせをテストすることになります。準備する食材は主要な味覚要素を際立たせるように選別してみました。
①味わいに合わせた材料を用意する
私たちは、多くの香りを感じ分けることが出来ますが、味に関しては数種類に限定されます。味に関しては、塩、酸、苦い、甘い、旨いなどが代表的ですが脂肪やスパイス(辛い)、青い野菜も入れると実践的になると考え追加しています。
実験スペースとして、自宅を利用できない場合はイタリアレストランの「サイゼリア」をおすすめします。後片付けも必要ありませんしね。
Salty (塩味) – Potato Chips (ポテトチップス)
プレーンな塩味の普通のポテトチップスを用意してください。フレーバーが入っているとこの実験には合いませんので注意です。
Sour (酸味) – Vinegar (酢)×サラダ
サラダとドレッシングなどの組み合わせで結構です。シンプルなビネガーソースであれば尚のGOODです。
Bitter (苦味) – Walnuts (くるみ)などナッツ
くるみは、ワインテイスティングの定番キャラクターですが、なければナッツ類であれば構いません。
Fatty (脂肪) – Brie (ブリー)など白カビチーズ
ブリーチーズやカマンベールチーズを用意しましょう。滑らかな口当たりとバターのような濃い味わいのものです。
Sweet (甘味) – Baked Brie (デザート用ジェリーとベイクドブリー)
脂質と分けて用意するのが難しいですが、例えば牛乳寒天や杏仁豆腐などが良いかもしれません。余ったブリーチーズを焼いてハチミツをかけても美味しそうです。
Umami (旨味) – Steak (牛のステーキ)
牛肉のステーキがおすすめです。調理はシンプルに塩だけが最適です。
Green (緑の野菜) – Sautéed, Buttered, and Salted Spinach (バターと塩を加えたほうれん草)
青い野菜代表選手として、ホウレンソウのソテーが用意しやすいですね。春ならアスパラガスなども試してみて欲しいです。
Spice (辛さ) –(ポテトチップスなどに付けるホットソース)
ポテトチップスや牛肉の味変要員として、サルサソースなどのホットソースを用意しておくと良いでしょう。手近なところでタバスコ(酸味も強いか?)もおススメです。
②ワインを厳選する
一緒に味わいたい食べ物を選ぶように、ワインの選択も完全にあなたの趣味で問題ありません。
ここに登場するのは例えばイタリア系が好きなら(というかサイゼリア)、赤(モンテプルチアーノやサンジョヴェーゼ:キャンティなど)、泡(プロセッコやロゼ系もおすすめ)、白(ヴェルディッキオやシャルドネ)、甘口(ラコンブリッコラ)などを用意してみてください。
一般的な評価:ワインとのペアリングは…?
●赤ワイン
- 赤ワインは通常、赤身の肉料理との相性が良いとされています。
- 濃厚な味わいとタンニンから、赤身の肉料理との組み合わせが一般的です。タンニンは肉の脂身と結びつき、豊かな味わいを生み出します。
●スパークリングワイン
- スパークリングワインは前菜や軽食との組み合わせに適しています。
- 活気ある炭酸とさっぱりとした味わいから、前菜や軽食との相性が抜群です。炭酸の爽快感は前菜の軽やかさと調和し、食欲をそそります。
●白ワイン
- 白ワインは通常、魚や鶏肉との相性が良いとされています。
- 軽やかな酸味とフルーティーな風味から、軽い肉料理や魚料理と組み合わせることが一般的です。その酸味が食材の爽やかな特性を引き立て、絶妙な調和を生み出します。
●甘口ワイン
- 甘口ワインはデザートとの組み合わせに適しています。
- 甘さと豊かな果物の風味から、デザートとの相性が抜群です。デザートの甘さと風味と相まって、絶妙な味わいを楽しむことができます。
③評価とペアリングのポイント
ペアリングの成功度合いを評価するために、評価スケールを使用します。
このスケールは、あなたが実験結果を評価し、マッチするペアリングを特定するのに必要です。各組み合わせに対して1から5の評価を行い、その評価に基づいてペアリングをランク付けします。
各食材を異なるワインと組み合わせて試食します。たとえば、赤ワインとステーキ、白ワインとポテトチップス、スパークリングワインと前菜などです。テストの際に、食材とワインの組み合わせがどのように相互作用し、味わいがどのように変化するかを評価します。
- 1 – 非常に不適切: 食材とワインの組み合わせはまったく合わない。味わいが相互に調和せず、絶えず不快な組み合わせ。
- 2 – 不適切: 食材とワインの組み合わせはあまり適していない。味わいの一部が調和しない。
- 3 – 中立: 食材とワインの組み合わせは中立的で、特に良くも悪くもない。味わいに特筆すべき相互作用はない。
- 4 – 適切: 食材とワインの組み合わせは良好で、味わいが調和して楽しい。
- 5 – 非常に適切: 食材とワインの組み合わせは完璧で、味わいが絶妙に調和し、最高のペアリング。
④おすすめの実験方法
当然ながら、記録を付けると後で考える際に役に立ちます。酔いが回ってから記憶があいまいになってしまいますしね。可能な限り実験の結果を詳細に記録します。
項目としては、「味わい」、「相性」、「好み」などをメモしておくと良いでしょう。
そのほかにもおすすめは…
- ワインの適温: ワインを適切な温度で提供してください。白ワインは冷たく、赤ワインは適温に保つことが重要です。適切な温度でワインを楽しむことで、味わいが最大限に引き立ちます。
- 水やパン: ワインの味を中和し、口の中をクリーンに保つために、水やパンを用意してください。飲食物の間に口をリセットすることが重要です。
- 時間をかけて: ペアリング実験は急いで行うものではありません。時間をかけてゆっくりと味わい、異なる組み合わせを試してください。一つのセッションで多くの実験を行うと、感じる疲労が味に影響を及ぼす可能性があるため、分散させることが良いでしょう。
実験の注意点
あくまでも主観的な体験ですので、この結果には好みや体調、季節などの環境的な要因も影響することが考えられます。人の好みというよりは、自分の好みを知るということを重要視して実験にあたりましょう。そのほかにも…
- 実験の制限事項: この実験は一つのアプローチに過ぎないため、全ての組み合わせを網羅するわけではありません。新しい組み合わせを試すことはいつでも可能です。
- 適切なワイングラス: ワインは出来るだけ適切なワイングラスを使用してください。ワイングラスの形状はワインの味わいに影響を与えるため、適切なグラスを使用することが重要です。
- フードペアリングの実践: 実験の結果を元に、日常の食事においてワインと食事のペアリングを実践しましょう。実際の食事との組み合わせによって、新たな発見も多くなるでしょう。
結果:各種ワインと食事との相性について
赤ワイン:
赤ワインは通常、赤身の肉料理との相性が良いとされますが、実験からはこれが全てではないことが明らかになりました。実験では、シーフードと赤ワインの意外な組み合わせが素晴らしい味わいをもたらしました。たとえば、シーフードとピノ・ノワールの赤ワインを組み合わせることで、爽やかな酸味と海の風味が絶妙に調和し新たな選択肢が開かれました。この組み合わせの成功の背後には、酸味と軽やかさが両方の要素を引き立てることがあります。もちろん、セオリー通りの牛肉とも好相性ですし、塩味のポテトチップスは万能食材とも言えました。
スパークリングワイン:
スパークリングワインは多目的なワインであり、前菜からデザートまで幅広い料理と組み合わせることができます。実験によって、多くのスパークリングワインと食材の相性が良いことが明らかになりました。例えば、辛口のシャンパンと生ハムの組み合わせは、塩味とシャープな泡立ちが完璧に調和し、贅沢な味わいを生み出しました。もちろん、塩味のポテトチップスとも相性抜群です。ポテチ万能です、辛味を合わせても相性が崩れず、スパークリングワインが中和してくれるため良好な相性と言えました。ナッツとも是非合わせてみてください。
白ワイン:
白ワインは多くの料理と組み合わせることができることが分かりました。例えば、シャルドネとシーフードの組み合わせは、シャルドネのリンゴや洋梨の風味とすっきりとした酸味がシーフードの魚介類と絶妙にマッチし、新鮮で複雑な味わいを生み出しました。ほかにも、ビネガーサラダ、ブリーチーズやホウレンソウのバターソテーとも素晴らしい味わいが楽しめます。
甘口ワイン:
甘口ワインとデザートの組み合わせは最適でした。例えば、チーズケーキと甘口のデザートワインを合わせることで、クリーミーさと甘さの絶妙なバランスが楽しめます。ほかにも杏仁豆腐、牛乳寒天などでも甘さの調和が面白く、食事の締めくくりを楽します。
考察
色んな組み合わせで自由に楽しんでみてもらえると新しい発見もあるでしょう。フードペアリング理論は、味わいの相性について理解を深め、食事をより豊かにしてくれます。
代表的な組み合わせを最後に残しておきます。あなたの考察のお手伝いが出来たら幸いです。
1. 相補的な組み合わせ: 相補的な組み合わせは、味覚要素が互いに強調し合う組み合わせです。一方の要素が他方の要素の不足を補い、より豊かな味わいを生み出します。
- 甘口ワインとデザート: 甘口ワインの甘さがデザートの甘さと相補的で、共存することで甘さの調和が生まれます。
- 白ワインと魚料理: 白ワインの酸味や爽やかさが魚料理の軽やかさと相補的で、美味しい組み合わせを提供します。
2. 対照的な組み合わせ: 対照的な組み合わせは、味覚要素が互いに対照的であり、対照が美味しさを引き立てる組み合わせです。これらの組み合わせでは、異なる要素が絶妙なバランスを提供します。例として、以下の組み合わせが挙げられます:
- 赤ワインとポテトチップス: 赤ワインの酸味と赤身肉の風味が、ポテトチップスの塩味と対照的で、美味しさを引き立てます。
- 辛いソースとスパークリングワイン: 辛いソースの辛さとスパークリングワインの泡立ちが対照的で、お互いを中和し、贅沢なペアリングを提供します。
3. その他の興味深い組み合わせ:
- 類似の組み合わせ: このタイプの組み合わせでは、類似した味わいや要素が互いに強調し合います。例えば、赤ワインと牛肉のステーキは、共通の赤身肉の風味を持ち、互いを引き立てます。
- 地域に基づく組み合わせ: 特定の料理とその原産地域のワインとの組み合わせは、地域の文化や伝統に基づいています。フランスのボルドー地域のワインとラム肉料理、またはイタリアのピエモンテワインとトリュフ料理などがこれに該当します。
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