フードペアリングを理解する:ボルドー赤とラザニアの提案から考える

ワインと料理、ペアリングの基本的なアプローチは、ワインを料理の一部として捉え、その構造的な味の要素を理解することです。例えば、フルボディの赤ワインの基本的な味成分は酸味、苦味、強度、そして基本的なフレーバーです。これらをバランスよく調和させることが、素晴らしいワインと料理のペアリングの目標です。

ワインの構造的な要素

ワインの奥深さを感じるためには、中に含まれている酸味、苦味、強度、そして基本フレーバーの理解が欠かせません。これら要素は、複雑な味わいを形成し、料理とのペアリングにおいても重要な役割を果たします。

酸味はワインが持つ基本的な要素の一つで、料理との調和においてバランスを保つ重要な要素となります。

苦味は主にワインの中の色素やタンニンによってもたらされます。これが舌に「引っかかる」「ざらざらする」感覚を与え、赤ワインが「ドライ」と形容される理由でもあります。苦味は、料理と合わせる際に蛋白質や脂肪を組み合わせることが求められます。

強度(ボディー)は、ワインが持つ力強さやコクの度合いを指します。フルボディの赤ワインは、その名の通り、強烈な味わいを有しています。この強度と料理の強度を合わせることが、ペアリングにおいて成功の鍵です。

基本フレーバーに関しては、赤ワインは一般的にダークフルーツのニュアンスを持っています。例えば、シラーはブラックベリーやプラム、カベルネ・ソーヴィニヨンはブラックカラントやブラックチェリー、ネッビオーロはチェリーやローズなどが主なフレーバーとして挙げられます。これらのフレーバーは、料理との相性を考える際に役立つ手がかりとなります。

このように、ワインの構造的な要素を理解することは、ペアリングにおいて的確な選択を行うための基本となります。

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ペアリングの基本原則

酸味の補完

酸味の補完は、ワインの酸味と料理の酸味を調和させるテクニックです。酸味の多い料理には、それに対抗する脂肪と塩を組み合わせることでバランスを取ります。例えば、酸味の強い料理には、オリーブオイルを使ったドレッシングや、塩気の効いた食材を組み込むことが有効です。これにより、ワインの酸味が引き立ち、全体の味わいが深まります。

苦味の対応

次に、苦味の対応に焦点を当てましょう。ワインがもたらす苦味に対抗するためには、蛋白質、旨味、そして脂肪をうまく取り入れる必要があります。これらの要素は、ワインのタンニンや苦味を和らげ、食事全体の調和を促進します。例えば、肉料理やチーズ、ナッツなどは、ワインの苦味に対して理想的な相棒となります。バランスがとれたペアリングにより、ワインの特徴が際立ちます。

甘さのバランス

そして、苦味と甘さのバランスにも調整が必要です。甘さは理論上、苦味を和らげる効果がありますが、高いタンニンを持つワインではうまくいかないこともあります。甘い料理がタンニンの苦味を引き立て、ワインが不快に感じられることがあるからです。このため、苦味と甘さのバランスは微調整が求められ、特に高タンニンのワインには注意深くアプローチする必要があります。

具体的な食材選定

ヴィーガンやベジタリアン向けのペアリングは、たんぱく源と旨味・脂肪を補完する食材、そしてワインの風味に調和するシーズニングの絶妙な組み合わせが鍵となります。今回は、ボルドーの赤ワインとヴィーガン食の具体的な組み合わせについて考えていきます。その前に、食材やそのほか調味料、スパイスなどについても理解しておきましょう。

たんぱく源としての食材

ヴィーガンやベジタリアンの料理において質の高いたんぱく質を提供する食材が豊富にあります。豆腐やテンペ、キヌア、さまざまな豆類、代替肉などがその代表例です。例えば、豆腐は柔らかな食感と優れたたんぱく質源であり、そのほか代替肉は料理に肉の風味をプラスしてくれます。

旨味と脂肪を補完する食材・調味料

料理に深みを与えるためには、キノコやモラセス、醤油などが効果的。キノコは肉の代替だけでなく、独自の旨味をプラスし、モラセスは自然な甘味を提供してくれます。同時に、醤油は豊かなうま味をもたらします。これらの食材と調味料は、ヴィーガンの料理に奥深い味わいをもたらし、ワインとの相性を高めてくれます。

香辛料や調味料の活用

ワインの風味に合わせてシーズニングを工夫することで、ペアリングの楽しみが広がります。ワインのフルーティーな特徴に対応するためには、シナモンやオールスパイスの使用がおすすめ。また、コショウやクミン、酢、スモークパプリカもワインの風味を引き立て、料理に独自のアクセントを添えます。

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ラタトゥイユ風ラザニアとのペアリング

ボルドーブレンドの赤ワインは、その独特な特徴と複雑な味わいから、ヴィーガン料理との素晴らしいペアリングできるはずです。

ボルドー地方では、一般的にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランなどをブレンドして生まれるワインです。その特徴と魅力は、濃厚でありながらも洗練された果実味、適度な酸味、そしてまろやかなタンニンのバランスにあります。

この特性に着目して、豊かな果実味や適度な酸味を引き立てるために、バルサミコ風味の野菜ラザニアが適しています。ラザニアの中身にはラタトゥイユに使われるような、ナスや赤パプリカ、トマトなどがオーブンで香ばしく焼かれて、ワインのフルーティーな特徴と調和します。

また、ワインのまろやかなタンニンと調和を図るために、クルミやキヌアもおすすめです。キヌアの食感とクルミのコクが、ワインのタンニンと絶妙なバランスを生み出します。

最後に、ワインの独特なブレンドの味わいに合わせて、ローズマリーやシナモンを加えて料理全体に深みを持たせることで、ペアリングの楽しさを一層引き立てます。

レシピ(3~4人分)

材料:

  • ラザニアシート:6~9枚
  • ヴィーガンチーズ:お好みで(オプション)

バルサミコ風味の野菜具材:

  • ナス:3~4個、薄切り
  • ズッキーニ:1~2本
  • 赤パプリカ:1個、薄切り
  • ホールトマト:2缶
  • クルミ:1/2カップ、粗く刻んだもの
  • キヌア:1/2カップ、予め茹でておく

バルサミコ風味のソース:

  • オリーブオイル:1/4カップ
  • バルサミコ酢:50~100ml
  • ニンニク:4片、みじん切り
  • ローズマリー:1枝、みじん切り(なくても可)
  • 塩と胡椒:お好みで
  • 顆粒コンソメ:大1

手順:

1. 野菜の下ごしらえ:

  • ナス、ズッキーニ、赤パプリカを薄切りにします。
  • にんにくをつぶし、細かく刻みます。

2. ソースの準備:

  • フライパンにオリーブオイルを熱し、ニンニクを炒めて香りを出す。
  • しっかり香りがたったらズッキーニを入れて炒める。
  • ズッキーニが柔らかくなったタイミングで、ナス、赤パプリカ、トマト缶、バルサミコ酢、顆粒コンソメを加えて、トマトを崩しながら煮るとよい。
  • ソースがとろっとするまで10~20分ほど煮込む。仕上げに塩コショウで味を整える。

3. オーブンの準備:

  • オーブンを180度-200度に予熱します。
  • ラザニアはオーブンで約25分‐30分焼きます。焼き色がつくまで調理してください。
  • 表面がグツグツすれば出来上がりですので、焦がさないように注意してください。

4. ラザニアの組み立て:

  • 焼き上がった野菜ソースを使用して、ラザニアの組み立てを始めます。
  • オーブンプルーフの容器にオリーブオイルを塗り、ラザニアのシートを敷きます。
  • その上に野菜ソースの一部敷き、ヴィーガンチーズやクルミとキヌアを散りばめます。
  • ラザニアシート+野菜ソース+α、これを3回程度繰り返します。
  • 最後の層をチーズの層で終わらせ、お好みでバジル(分量外)をまぶします。
  • 温めておいたオーブンで25~30分焼いたら完成です。焦げそうならアルミをかぶせてください。

5. サーブ:

  • ゴールデンブラウンに焼き上がったら、オーブンから取り出して数分冷まします。
  • 切り分けて、お好みで新鮮なハーブをトッピングしてお召し上がりください。

まとめ

ワインと食事の楽しさを考え、構造的な要素や基本原則を理解できるようになると幸いです。ワインとヴィーガン料理が互いを引き立て、新しい味覚の冒険が広がります。こうして具体的な組み合わせを元に、あなたの理解が深まることを願っています。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得