ワイン基礎知識:自然派ワインの入り口へ(本質、特徴、種類、取り扱い?)
「自然派ワイン=ナチュラルワイン」と呼ばれるスタイルが、近年注目を浴びています。自然ワインは、未加工でフィルタリングされていないことが特徴で、通常のワインとは異なる風味を楽しむことができます。しかし、その謎めいた魅力と共に、自然派ワインには賛否が分かれる意見も存在します。
この記事では、自然派ワインの世界に踏み入り、その基本から健康への影響、取り扱いに至るまで、自然ワインの多くを探求します。このワインが持つ魅力について紐解いていきましょう。

第一部: 自然派ワインの基本
自然派ワイン(=ナチュラルワイン)とは何か、その基本的な要素を理解しましょう。自然派ワインは、その名の通り、自然の力を最大限に生かし、干渉を最小限に抑えて製造されるワインのスタイルです。
- 小規模生産: 自然ワインは通常、小規模な独立した生産者によって作られます。これによって、ブドウ栽培からワイン製造までの細部に注意が払われ、手作業での収穫が行われます。
- 持続可能なブドウ園: 自然ワインのブドウは持続可能な、有機的な、または生態学的なブドウ園で栽培されます。農薬や化学肥料の使用が制限され、土壌と生態系への配慮が重要視されます。
- 自然酵母: 自然ワインは通常、外部からの酵母が添加されず、ブドウの自然な酵母によって発酵されます。これは、ブドウとその生育環境からの微生物によって、ワインの風味が形成される独自のプロセスをもたらします。
- 添加物の最小化: 自然ワイン製造では、酵母栄養分や他の添加物が極力使用されません。これにより、ワインの純粋な性格と風味が引き立ちます。
- 硫酸塩の最小化: 自然ワインには硫酸塩がほとんど添加されません。通常のワインに比べて硫酸塩の使用が少ないため、ワインはより生き生きとしており、微生物の多様性が維持されます。
自然派ワインの種類
自然派ワインは、その多様性において魅力的です。異なる地域や生産者によって製造される自然ワインには、さまざまなスタイルと特性があります。
- オレンジワイン: オレンジワインは、通常の白ワインとは異なり、発酵中にブドウの皮と種がジュースと接触する方法で作られます。これにより、オレンジワインは通常の白ワインよりも複雑な風味を持ち、古代の製法を採用しています。
- ペティアン・ナチュレル: ペティアン・ナチュレル、通称「ペト・ナット」は、最も古典的なスパークリングワイン製法の一つで、ワインがボトル内で発酵を終え、自然な炭酸化が生じます。シャナン・ブランなどのブドウから作られたペト・ナットは、爽やかな泡を楽しむための魅力的な選択肢です。
- コル・フォンド・プロセッコ: コル・フォンド・プロセッコは、通常のプロセッコとは異なり、未加工で不濾過のバージョンです。このワインは独自の風味とテクスチャを提供し、伝統的なプロセッコとは異なる体験を提供します。
自然派ワインの歴史
自然派ワインの歴史は、伝統的なワイン製造方法からの逸脱として位置づけられています。これらの製法は、ブドウ栽培とワイン製造の過程での人工的な干渉を極力排除し、ブドウの本来の性格と土地の表現を強調する試みとして誕生しました。
このスタイルは、特に小規模な生産者やアーティストの間で愛され、従来のワイン業界に新しい視点をもたらしています。自然ワインの歴史は、ワイン愛好家と生産者による熱意と創造性の証しであり、その進化はワインの未来に大きな影響を与えています。
第二部: 自然派ワインと健康
自然派ワインの健康への影響について探求しましょう。自然派ワインが健康に与える影響については意見が分かれており、その複雑な側面を明らかにします。
自然派ワインと硫酸塩
自然派ワインが硫酸塩を最小限に使用することには、健康への影響と賛否両論が存在します。硫酸塩は通常、ワインの酸化防止や微生物の成長を抑制するために使用されますが、自然派ワインではこの添加物の使用が制限されます。これにより、ワインはより自然な風味と香りを持ちますが、その一方で健康への考慮が生じます。
硫酸塩に関する議論は続いており、硫酸塩自体はアレルギー反応や頭痛を引き起こす可能性があると広く信じられています。しかし、科学的な証拠は依然として限られており、硫酸塩が頭痛の主要な原因であるかどうかについては不明確です。
自然派ワインの不純物
自然派ワインの特徴であるフィルタリングなしには、ワイン中の微生物や不純物が含まれる可能性があります。これには生体アミンと呼ばれる一群の物質も含まれます。生体アミンは、ヒスタミンやチラミンなどが含まれ、これらの物質が一部の人々に頭痛や片頭痛などの健康問題を引き起こす可能性があります。
ただし、健康への影響は個人によって異なることに留意する必要があります。一部の人にとっては生体アミンが問題となる可能性がある一方、他の人にはほとんど影響がないこともあります。このため、自然派ワインを楽しむ際には個人の体質や健康状態に留意することが重要です。
自然派ワインの保存と安定性
ここまでにお示しした通り自然派ワインは、通常のワインとは異なる保存要件を持つことがあります。このワインは硫酸塩の使用が少ないため、酸化しやすく、微生物の影響を受けやすい特性があります。
- 地元の小売業者からの購入: 自然派ワインを地元の小売業者から購入することで、輸送中の劣化リスクを最小限に抑えることができます。
- 早めの消費: 自然派ワインは通常、新鮮な状態で楽しむために設計されています。硫酸塩の少ないバージョンは長期保存には適していないことに留意し、購入後1年以内に消費することをお勧めします。
- 適切な保管: 自然派ワインは適切な温度と湿度で保管される必要があります。ワインクーラーやセラー、冷蔵庫が最適な保管場所です。
- 光源から遠ざける: 自然派ワインは光に敏感であり、全ての光源から遠ざけることが重要です。このため、LEDや蛍光灯を含む光源から保管する必要があります。
- 開封後の保存: 開封したワインはコルクまたはバキュヴィンで密封し、冷蔵庫で保存することが推奨されます。
これらのベストプラクティスを守ることで、自然派ワインの保存と安定性を確保し、最高の風味を楽しむことができます。
第三部: 自然派ワインの探求と魅力(まとめ)
自然派ワインの魅力は、その特性や風味の多様性によって多くのワイン愛好家やソムリエからも賞賛されています。このスタイルの魅力を探求しましょう。
このワインはまず、地域の表現を楽しむための素晴らしい手段です。ブドウ品種と土地の特性がそのまま表れ、各ワインが産地の個性を忠実に反映します。これはワイン愛好家にとって、異なる土地や地域の魅力を探求する楽しみを提供します。
自然ワインはワインのアートとしても捉えられ、生産者の個性や独自のアプローチがボトルに詰め込まれています。各ワインには独自の物語が込められており、その背後にある生産者の情熱や創造性が味わえます。ここまでにお示しした通り、自然ワインはその醸造の背景により風味の多様性を獲得しています。
硫酸塩や過度な加工が少ないため、果物のフレッシュさや土壌からのミネラル感、微生物の影響など、多彩な要素がワインに表れています。各ワインは驚くほど異なる風味を持ち、その多様性に富んだ味わいがワイン愛好家にとって魅力的です。
個人的な感想としては、自然派ワインは一部が非常に美味しい一方で、いわゆる不味いものに当たる可能性があることに注意が必要です。趣向の部分もありますが、こうした飲んでみないと分からないというリスクも伴うことがありますが、エキサイティングなスタイルの一つと捉えることができます。同じワインを飲んでも、極論私には合わないと感じても、あなたにとっては魅力的である可能性もあり一概には言えない部分で、これもまた面白い発見です。
さて、話を戻しますと環境への配慮も自然派ワインの一部です。持続可能な農業と環境保護に焦点を当て、地球にやさしいワインを楽しんでいるという事も意識できるため、このスタイルのワインは化学的な添加物を最小限に抑え、生態系への負荷を軽減できる可能性があります。ワインを楽しむ我々にとって、自然の物から造られるワインを飲む際にも、環境に敬意を払うことも忘れないでください。
まだ試したことが無いという方は、新しいスタイルのワインの情報に触れ、その魅力を発見することで、また新たな次元が開かれることでしょう。乾杯っ!
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