リオハワインの進化:新たなスパークリングワインカテゴリーの誕生

リオハ地域のワインは、長い歴史と豊かな伝統を持つスペインの魅力的な宝石です。数世紀にわたって、リオハ地域は赤ワインと白ワインの生産で名声を博し、その品質と味わいは世界中で称賛されてきました。しかしこの地域は、常に進化を続けており、新しい時代に合わせた革新的なステップを踏み出しています。

最近導入された「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ(Espumoso de Calidad de Rioja)」カテゴリーは、その進化の最新の一例です。このカテゴリーは、リオハ地域で生産されるスパークリングワインの新たな扉を開き、伝統と革新を融合させる素晴らしい試みとなっています。

本記事では、リオハワインの歴史的背景から「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ」カテゴリーの誕生までの経緯を探り、これからのワイン愛好家に期待される新たな魅力に迫ります。

リオハワインの歴史と変革

リオハワインは、その美味しさと洗練された風味で世界中のワイン愛好家を魅了してきました。しかしながら、ワインの世界はゆっくりと変化していくもの。今なおコルクが重要視される一方で、50年以上前から成功を収めているスクリューキャップも存在します。

そして、ボルドーワインが160年前の規定に基づいて評価されている事実もあります。そんな中、2018年にリオハのワイン委員会である「リオハコンセホ・レグラドール」が新たな分類システムを発表し、ワイン業界に革命をもたらしました。

リオハワインの歴史は古く、古代ローマ時代からワイン生産が行われていたと言われています。しかし、特に近代以降の歴史を詳しく見てみましょう。

19世紀前半:フィロキセラ蔓延と再建

19世紀前半、フランスのブドウ畑でフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が蔓延し、多くのブドウ畑が壊滅的な被害を受けました。これにより、フランスワインの生産が大きく減少しましたが、その結果、スペインのリオハ地域においてワイン生産が増加しました。この時期に、リオハ地域のブドウ畑は拡大し、ワインの品質向上に努めました。

19世紀末:フランスワインとの競争

19世紀末になると、フィロキセラの問題が解決され、フランスワインの生産が回復し始めました。これにより、リオハワインはフランスワインとの競争に直面することとなりました。リオハ地域は品質向上に取り組むとともに、ワインの貯蔵方法や熟成方法を改良し、高品質なワインの生産に注力しました。

20世紀初頭:DOリオハの設立

20世紀初頭、リオハ地域のワイン生産者は地域のワインの品質と名声を守るために、地理的表示制度である「Denominación de Origen(DO)」を設立しました。これにより、リオハ地域で生産されるワインは特定の基準に従って製造され、品質が保証されるようになりました。

20世紀中盤:樽熟成の導入

リオハワインの特徴的なスタイルの一つとして、樽熟成が挙げられます。20世紀中盤、リオハ地域のワイナリーは、樽熟成によってワインに複雑さと深みを加える方法を開発しました。これにより、リオハワインは国際的な評価を受けるようになりました。

21世紀:分類制度の変革と未来展望

21世紀に入ると、リオハワインの分類制度に変革が起こりました。従来の樽熟成だけでなく、地域の気候やブドウ畑の特徴を重視する新しい分類制度が導入されました。これにより、ワイナリーはより個性的なワインを生み出すために努力する奨励を受けるようになりました。

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しい分類制度

リオハワインは、その伝統と歴史を尊重しながらも、時代に合わせて変革を遂げてきました。これにより、より高品質で個性豊かなワインを生み出すことが可能となりました。特に近年、2017年にリオハ地域のワイン分類制度に大きな変革が導入されました。

1. 新しい地理区分

従来の分類では、リオハワインは短熟成(Crianza)、長熟成(Reserva)、特別長熟成(Gran Reserva)の3つのカテゴリーに分かれていました。しかし、新分類制度ではより詳細な地理区分が導入されました。

リオハ地域は3つの地域に分けられ、それぞれ「リオハ・アルタ」、「リオハ・アラベサ」、「リオハ・オリエンタル」と呼ばれます。これにより、地域ごとの気候や土壌の特性を反映したワインの生産が可能となりました。

2. 新しいカテゴリー

新分類制度では、短熟成(Crianza)や長熟成(Reserva)、特別長熟成(Gran Reserva)に加えて、新しいカテゴリーが導入されました。これには以下の2つが含まれます。

  • Viñedos Singulares(特別畑): 特定の畑で栽培されたブドウから作られるワインを指します。畑の位置や樹齢などが重要な要素で、その畑からの収穫だけで作られる高品質なワインが該当します。
  • Vinos de Pueblo(村のワイン): リオハ地域内の特定の村で生産されたワインを指します。村の伝統や特性を反映したワインで、地域内の異なる個性を楽しむことができます。

3. アイコンワイン

新分類制度では、アイコンワインと呼ばれる特別なカテゴリーも導入されました。これは、最高品質のワインであり、地域内の特定の畑や村で生産され、厳しい基準を満たす必要があります。アイコンワインはリオハ地域のワインの中でも最高峰とされ、国際的な評価を受けることを目指します。

変革の意義

新分類制度と変革は、リオハワインの生産者が地域の多様性や特性をより詳細に表現するための手段として重要です。これにより、消費者はより具体的な情報を得て、自分の好みに合ったワインを選びやすくなります。また、地域内の異なる地理的要素や伝統を尊重しつつ、革新的なアプローチを取ることで、リオハワインは国際市場での競争力を保ちつつ、さらなる品質向上を追求しています。

新しいスパークリングワイン

「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ(Espumoso de Calidad de Rioja)」は、リオハ地域で生産される新しいスパークリングワインのカテゴリーです。これは、リオハ地域内の特定の地域で栽培されたぶどうを使用して作られる高品質なスパークリングワインを指します。以下に、この新しいカテゴリーの詳細を解説します。

新しいスパークリングワインカテゴリーの背景: 従来、リオハ地域では主に赤ワインや白ワインが生産されてきましたが、スパークリングワインの生産量も増加してきました。これに伴い、リオハ地域内で生産されるスパークリングワインにも注目が集まってきました。そこで、リオハ地域のスパークリングワインの品質と特性をより明確に伝えるために、「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ」カテゴリーが導入されました。

特徴と要件: 「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ」カテゴリーのスパークリングワインは、以下の要件を満たす必要があります。

  1. ぶどう品種: カテゴリーには、リオハ地域で認められたぶどう品種が使用されます。これには、テンプラニーリョ、ヴュラ、マルサネガなどが含まれます。
  2. 生産方法: スパークリングワインは、伝統的な方法で生産される必要があります。これは、セカンダリー・フェルメンテーション(瓶内発酵)を通じて二酸化炭素ガスを発生させ、ワイン内に微細な泡を生み出す方法です。
  3. 最低熟成期間: スパークリングワインは、最低9か月間熟成する必要があります。この期間により、ワインが複雑な風味を発展させることができます。

新しさのポイント: 「エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハ」カテゴリーは、リオハ地域の伝統的な品種や生産方法を尊重しつつ、スパークリングワインの生産に新しいエネルギーをもたらすことを意図しています。

これにより、リオハ地域はスパークリングワインの分野でもその品質と特性をアピールすることができるようになりました。

消費者は、エスプモソ・デ・カリダ・デ・リオハのラベルを見ることで、高品質で伝統的な製法に基づくスパークリングワインを選ぶことができるようになりました。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得

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