銘醸地の旅、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ:イタリアンエレガンスと呼ばれる理由とは

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノという、豊かな歴史と独自の個性を持つイタリアの名だたるワインの魅力を発見しましょう。

この記事では、その品種の魅力に深く踏み込み、起源を探り、生産地域の特徴を探求し、土壌と気候の影響を明らかにします。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの秘密を解き明かすこの楽しい旅にご一緒にどうぞ。

魅力的な地域

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはサンジョヴェーゼ(ブルネッロと称する土着の分枝種)から作られるイタリア、トスカーナ州でもっとも格が高くて高価なワインです。(ブルネッロは「小さな暗いやつ」の意)

このワインの魅力の源は、その栽培地域であるトスカーナの中心に位置するモンタルチーノ地域にあります。この美しい地域は、ブドウ栽培に最適な環境と景観を提供しています。

モンタルチーノ地域は、起伏に富んだ丘陵地帯で知られており、標高が高い場所に位置しています。この特異な地形によって、ブドウ畑は日光を十分に受け、適切な排水システムを確保することができます。さらに、冷涼な気候と大陸性の影響を受けた地中海性気候の組み合わせは、ブドウの成熟に理想的な条件を提供します。

土壌もまた、このワインの特徴的な味わいに寄与しています。主に石灰岩と粘土から成る土壌は、ブドウの根が深く成長することを促し、ワインに豊かなミネラルや複雑な風味をもたらします。

さらに、栽培においては、地域の生産者たちの厳格な基準と伝統的な栽培方法が重要な役割を果たしています。手摘みによるブドウの収穫、古いブドウ畑の保護、熟成に時間をかけるなど、生産者たちは品質を最優先に考えています。

モンタルチーノ地域はまた、観光客にとっても魅力的な場所です。美しい風景、中世の城、ワイナリーの訪問など、多様な観光体験を提供しています。訪れる人々は、この地方のワインを試飲しながら、その生産地域の魅力に浸ることができます。

魅力の背景

この地域は、標高が300メートル以上の丘陵地帯に広がっており、南向きの斜面に位置しています。この地勢は、日照時間を最大限に確保し、ブドウの成熟に適した温暖な気候をもたらします。また、モンタルチーノ地域は冷涼な夜と温暖な昼の温度差が大きいため、ブドウの酸度やフレーバーのバランスを保つことができます。

さらに、モンタルチーノ地域の土壌は非常に多様であり、異なる区域ごとに異なる特性を持っています。主に石灰岩や粘土が豊富に含まれており、これらの土壌はブドウ根の成長に適しています。

石灰岩は水をよく保持し、ブドウの根が深く成長することを促し、豊かなミネラル構成をもたらします。一方、粘土は保水性に優れ、ブドウに必要な水分を供給すると同時に、ブドウの成熟を適切に制御する役割を果たします。

これらの地形と土壌の特性により、モンタルチーノ地域は優れたブドウの栽培に適しています。特に、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに使用される主要なブドウ品種であるサンジョヴェーゼは、この地域で最高の表現を実現します。

<広告>


口福をもたらすブドウ品種

サンジョヴェーゼは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノで使用される伝統的な地元の品種であり、その名前は「小さな暗いもの」という意味を持ちます。その名の通り、サンジョヴェーゼの果実は小さく、深い色合いを持っています。

サンジョヴェーゼは、その鮮やかなルビー色、芳醇な香り、赤い果実やスパイスの風味、しっかりとしたタンニンなど、多様な要素が調和しています。また、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインは、熟成によってさらに洗練され、絶妙なバランスと長寿命を持つことで知られています。

そして独特のミネラル感を通じて、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインに深みと複雑さをもたらしています。さらに、サンジョヴェーゼは非常に長い寿命を持つことでも知られています。

このワインは通常、長期熟成に耐える能力を持ち、瓶内で数十年にわたって進化し続けます。この長期熟成によって、ワインはより柔らかく繊細なタンニンを獲得し、複雑な風味と芳醇な香りが発展します。

伝統と革新の物語

トスカーナで最も有名なワインといえばキャンティですが、その中でも最も権威ある、そして求められているのが比較的最近に作られたブルネッロ・ディ・モンタルチーノです。

この名高いワインは19世紀末に登場しましたが、数世紀にわたるワイン醸造の伝統を引き継いでいます。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、キャンティを含む地域のサンジョヴェーゼを除く、小さくて病気に強いブドウから選ばれたクローンがフェルッチョ・ビオンディ=サンティによって生み出されました。

この新しいクローンは「ブルネッロ」という名前が付けられ、地域内の他のサンジョヴェーゼにはなかった、色の深さと力強さで比類のないワインとなりました。

ビオンディ=サンティ家の遺産

ビオンディ=サンティ家に敬意を表しましょう。彼らは優れた品質の新しいワインを作り出すだけでなく、妥協のない基準と高価格に対する不断のコミットメントでも知られています。

彼らのワインは、他の地域のワインとは異なり、数十年にわたって熟成し、品質を高める能力を持っています。ブルネッロの真髄は、その驚異的な熟成能力にあります。

進化と認知度

ビオンディ=サンティ家の歴史的な重要性は高価格を正当化しますが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは1970年代まで比較的知られていませんでした。

このワインは、バローロの名声を超えて、最高級のイタリア赤ワインとして注目を浴びるようになりました。1970年代はイタリアワインの人気が急上昇し、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、その優れた熟成能力とビオンディ=サンティ家の独占的で高価な提供品との関連で知名度を上げました。

課題と機会

1990年代は、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノにとって転機となる時期でした。新たな生産者が現れ、地域のぶどう畑が拡大し、ワインの品質と多様性が向上しました。

一方で、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの名声が高まるにつれて、需要も増加しましたが、その結果、供給不足が生じることもありました。

この課題に直面しながらも、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは新たな機会を迎えました。国際的な市場での需要の増加により、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは世界中で評価を受け、ワイン愛好家やコレクターの間で高い評判を築いています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの魅力

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、その深いルビー色と豊かな香り、エレガントな風味で知られています。その味わいは複雑で、赤い果実やスパイス、レザーやタバコのニュアンスが絶妙に絡み合っています。

しかし、その真髄は熟成にあります。適切な熟成を経ることで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは絶対的なエレガンスを備えたワインに変貌し、味わいに深みと複雑さを与えます。

10年以上の熟成を経たヴィンテージは特に価値があり、コレクターにとっては宝物とも言える存在です。

<広告>


合わせる料理、味のプロファイル

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、トスカーナ地方のワインとして、地元の料理との相性が非常に良いです。以下に、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに合わせるおすすめの料理をいくつかご紹介します。

  1. フィオレンティーナステーキ: トスカーナの伝統的な料理であり、大きなTボーンステーキをジューシーに焼き上げます。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの濃厚な果実味とタンニンの力強さが、ステーキの風味と調和します。
  2. ペポーソ: トスカーナの伝統的な肉料理であり、ブラックペッパーとオリーブオイルを使ったローストポークです。この料理の豊かな風味とブルネッロ・ディ・モンタルチーノの力強い構造が相まって、素晴らしい食事の組み合わせを楽しむことができます。
  3. ピッチャリーナ: トスカーナの伝統的なパスタ料理であり、ホウレンソウやペコリーノチーズが使われます。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの力強いタンニンとフルボディの特性が、このパスタのコクと豊かな味わいを引き立てます。
  4. ペッシェロ・アッラ・マッキアータ: トスカーナの伝統的な魚料理であり、トマトソースとハーブで煮込んだタラの一品です。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの力強さと酸味が、魚の豊かな風味とのバランスを取りながら、素晴らしい味わいを生み出します。

一般的な傾向として、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは濃厚で力強い赤ワインであり、熟成によって味わいが複雑になります。

フレーバーノートでは、赤い果実のニュアンス(チェリーやプラム)、乾燥した果物の香り(ドライフルーツ)、スパイス(シナモンやバニラ)のアロマ、そしてレザーやトリュフのニュアンスが感じられることがあります。

酸味の強さは中程度から高く、鮮やかな酸味がワインに活気を与えます。一方、タンニンの強さは高く、力強いタンニンがワインの構造を支えます。これにより、長期間の熟成に耐えるワインとして知られています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、特に重厚な料理や濃い味わいの肉料理との相性が良いです。繊細な料理や軽めの料理とも合いますが、その場合は熟成したワインを選ぶことをおすすめします。ワインの個々の特徴によっても相性は異なるため、食事との組み合わせを楽しむ際には、自身の好みや試行錯誤も大切です。

試してみるべき生産者


BANFI(バンフィ)

バンフィ社はトスカーナ州の中心部に位置するシエナ県モンタルチーノ市に、約800ヘクタールのブドウ畑を含む、広大な敷地と近代的な醸造設備を持ち、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやスーパータスカンを生産するイタリアでもトップクラスのワイナリーです。 伝統的なブドウ品種はもちろん、カベルネ・ソーヴィニヨン種などの国際品種も手がけ、樽材に使用する良質な木材の選別からワイン熟成にいたる品質管理を徹底しています。 また現在ではトスカーナと並びイタリアの二大銘醸地として知られるピエモンテでもワイン造りを展開。イタリアの伝統的白ワイン・ガヴィを始め、辛口スプマンテなどを生産しています。 バンフィは世界中に優れたワインを輸出するイタリア屈指のワイナリーとして、その名を馳せています。

FELICITY

Brunello Di Montalcino(ブルネッロ ディ モンタルチーノ)

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、しっかりとしたボディとしなやかで複雑な味わいが特徴です。 濃いめのルビー色、エーテルとわずかに感じるバニラの香り、ソフトで凝縮感があり、リコリス(甘草)やスパイス、タールを感じさせるような味わいのフルボディのワインです。■サクラ・ジャパン・ ウイメンズ・ワイン・アワード2017  /ダブルゴールド(2011) ■ビベンダ2017/4グラッポリ(2011) ■ガンベロロッソ2017 /2ビッキエーリ(2011)

FELICITY

FRESCOBALDI(フレスコバルディ)

イタリアの人々が讃える
マルケーゼ(侯爵)のワイナリー
フレスコバルディ家の歴史は古く、10世紀半ばまで遡ることができます。
14世紀には英国王室をはじめとするヨーロッパ中の宮廷に、そして15世紀には名だたる芸術家たちにワインを納めてきた歴史があります。
その富でルネッサンスの伝統文化、経済、芸術などに貢献してきた真の貴族だからこそ、貴族制度が廃止された今なお、フィレンツェの人々から「マルケーゼ(侯爵)」と呼ばれ、深い尊敬の念を抱かれているワイナリーです。

FELICITY

CASTEL GIOCONDO BRUNELLO DI MONTALCINO(ブルネッロ ディ モンタルチーノ カステルジョコンド)

褒め言葉しか見つからない1本!
もっとも古くからブルネッロを造っていたカステルジョコンドを名門フレスコバルディ家が購入したのは1989年。以来、カステルジョコンドのブルネッロ・ディ・モンタルチーノはますますそのクオリティと評価をあげています。
ステンレスタンクで低温発酵した後、スロヴェニアンオークとフレンチオークで最低2年間、合わせて4年間以上の熟成が行われます。

FELICITY

BARICCI(バリッチ)

バリッチは、「モンタルチーノの特級畑」として名高い「モントーソリ」の中でも最高峰の南斜面のみに畑を持つ、唯一のワイナリーです。創始者であるネロ・バリッチ氏が「モントーソリ」に畑を拓いたのは、世界大戦後の不況によって荒廃し「イタリアで最も貧しい村」にまで衰退した1955年。当時はブルネッロ・ディ・モンタルチーノを造る生産者は僅か11軒まで減少していました。ネロ氏はブルネッロというワイン産地と生産者たちの地位の向上に尽力し続け、ブルネッロ協会の創立にも大きく貢献した最大の貢献者です。バリッチは、ブルネッロ、いやトスカーナの最上の畑である「モントーソリ」のテロワールを映す最良のブルネロとロッソを生み出す生産者であるだけでなく、地元で尊敬され、DOCG認証番号の第一号の栄誉を与えられた真のトップ生産者なのです。

FELICITY

BRUNELLO DI MONTALCINO(ブルネッロ ディ モンタルチーノ)

バリッチ・ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、実質的グラン・クリュ“モントーソリ”畑100%で造る究極のブルネッロ。

“モントーソリ”はモンタルチーノの丘で、最も偉大な畑です。
その中でも南向きでわずか5haの最高区画“コロンバイオ”からのブドウを使用しています。

ワイン・エンスージアスト/97点(VT2013)
実質的グラン・クリュで造る
モントーソリ100%の究極ブルネッロ

FELICITY

おまけ

ロッソ・ディ・モンタルチーノ Rosso di Montalcinoにも注目!

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの姉妹品として同じ地域で生産される、より若くて早飲み(長期熟成の逆)を意識した軽快なスタイルのワインです。ロッソ・ディ・モンタルチーノは、主にサンジョヴェーゼ種(ブルネッロ種)から作られますが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノよりも短期間の熟成を経ているため、より早く楽しむよう出来ています。

このワインは、フレーバープロファイルでは、赤い果実のニュアンス、スパイス、そして地元の土壌や気候の影響を受けたミネラル感が感じられます。酸味は中程度であり、タンニンもやや控えめです。

まとめると、ロッソ・ディ・モンタルチーノは、手頃な価格で入手できる早飲みに向くサンジョヴェーゼであって、よい作り手にかかれば、とびきりの買い得品です。当然ながらすぐれたブルネッロの作り手は、ロッソ・ディ・モン タルチーノも優れているとふんで間違いはないでしょう。

BARICCI(バリッチ)

バリッチのロッソ・ディ・モンタルチーノは、熟成期間以外は同家の幻の最高ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」と全く同じ「モンタルチーノのロマネ・コンティ」=「モントーソリ・コロンバイオ」から、同じ栽培、同じ醸造方法で造られる赤ワイン。 格上ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを醸造する過程で試飲を行い、このロッソとブルネッロを分けています。 たとえ格下ロッソであっても「モントーソリ・コロンバイオ」の極上のテロワールを映し出すには、DOCの法定熟成期間を優に超えて法定機関よりも1年半以上長い2年~2.5年の熟成を行っています。 別格的特級畑とされる“モントーソリ”の中でも、南向きでわずか5haの最高区画“コロンバイオ”は正に「モンタルチーノのロマネ・コンティ」の如き存在で、格下ロッソ・ディ・モンタルチーノもこの別格小区画から生まれることから、価格が2~3倍する並大抵のブルネッロDOCGに勝る味わいを持っています。

FELICITY

BANFI(バンフィ)

Rosso di Montalcino D.O.C.(ロッソ ディ モンタルチーノ)

モンタルチーノの南の傾斜地で、オルチャとオンブローネの川の間に広がる畑より採れたブドウを使用。

ラベルの絵はファースト・ヴィンテージより、オーナー一族のジョンマリアーニ氏がデザイン。
モンタルチーノの勇ましく戦う戦士をイメージして描かれている。

厳選したブドウをステンレスと木樽を組み合わせたバンフィ社オリジナルのホライゾン発酵槽で7~10日間マセラシオン。
その後、一部をバリック、残りをオークの大樽で10~12ケ月熟成させ、ボトリング後更に6ケ月熟成。
●樽醗酵・樽熟成

FELICITY


COL D’ORCIA(コル ドルチャ)

ブルネッロ生産者の中でも最大手の一つであるコル・ドルチャ社は、モンタルチーノ地区の南斜面、標高450mに540ヘクタールの土地と最新の設備を備えた醸造所を所有しています。 コル・ドルチャの歴史は古く、1933年にはファットリア・ディ・サンタンジェロ・イン・コッレという名でワインを造っていました。 1973年にピエモンテのチンザノ家が取得し、現在はフランチェスコ・マローネ・チンザノ伯爵がオーナーとしてワイナリーを管理し、コンサルタント・エノロゴのマウリツィオ・カステッリとバンフィで経験を積んだ醸造家のパブロ・ハリイがワインを造っています。

FELICITY

ROSSO DI MONTALCINO DOC(ロッソ ディ モンタルチーノ)

ロッソ・ディ・モンタルチーノは、ブルネッロと同じサンジョヴェーゼから造られますが比較的若いうちから楽しむことができる赤ワイン。 長期熟成型の重厚なブルネッロとは異なり、フレッシュでフルーティな味わいが特徴でブルネッロとは別の楽しみをもたらしてくれます。 ステンレスタンクで28℃以下に保ち12日間の発酵・マセラシオン。 スラヴォニア産のオーク樽(75hl、150hl)を使用して12ヶ月熟成されます。

FELICITY

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得

コメントは受け付けていません。