銘醸地の旅、北イタリア-トレンティーノ・アルト・アディジェ州の魅惑:ラグレイン

ワイン愛好家の皆様、今回は魅力あふれるイタリアのトレンティーノ・アルト・アディジェ州にフォーカスを当てます。この地域は歴史的な背景と独特の気候、そして素晴らしいブドウ品種によって、ワイン愛好家の心を魅了してやみません。我々は、その奥深い魅力に迫りつつ、トレンティーノ・アルト・アディジェ州が生み出す特別なワイン「ラグレイン」の秘密に迫ってみましょう。

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産地の歴史

トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、豊かな歴史が刻み込まれた美しい土地です。ここはかつて、オーストリア・ハンガリー帝国に属していました。そのため、ドイツ語文化や伝統が今も息づき、ワイン造りにも影響を与えています。

この地域のワイン歴史は古く、ブドウ栽培はローマ時代にまで遡ります。一方で、現代のワイン醸造技術と持続可能な農法が融合し、最高品質のワインが生み出されています。特にラグレインは、この地域の魅力を象徴する存在です。トレンティーノ・アルト・アディジェ州のワイン組合は、その歴史的背景を大切にし、古典的な醸造技術を尊重しつつ、現代の革新も取り入れています。

アルプス山脈の麓に広がるアルト・アディジェ地方、その名前からも想像できるように、ここはオーストリアとの歴史的な繋がりを持ち、今なおドイツ語が話される地域です。また、「スッドチロル(南チロル)」とも呼ばれ、高地酪農の盛んな土地でもあります。

しかしながらこの地方には、ワイン愛好家にとって非常に興味深い品種が存在します。それが、ラグレインです。

この品種は、ボルツァーノ・グリエス平野においてはるか遠い時代より栽培されている記録があり、17世紀には既にムーリ・ディ・グリエスの修道院のヴェネディクト修道会神父たちによって素質・特性が定義づけられ当時最高のワインとして褒めたたえられていました。

ラグレイン種は、ワインいとても深みのあるルビー色の赤をもたらします。芳香は繊細でフルーティー、ある種の野菜の香りも感じられ、スミレを思わせる花の香りも漂う。さらに成熟によってバルサミコやチョコレートの香りにも変化する。辛口で味わい深く、柔らかさとみずみずしさのバランスがよくとられています。一方、タンニンは攻撃的ではなくエレガントな味・香りを与え、長期熟成に適したワインにさせるよう貢献しています。

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産地の土壌と気候

トレンティーノ・アルト・アディジェ州の土壌は多様で、山々からの冷たい風と温暖な日差しによって影響を受けています。ラグレインの栽培に適した土壌は、石灰質の頁岩と粘土が混ざり合う地域です。この土壌がラグレインワインの特徴を形作り、独特のミネラル感と豊かな風味をもたらしています。

気候は穏やかな昼夜の寒暖差があり、ブドウに適切な成熟を促します。海洋性気候が陸地の気温を和らげ、ワインに複雑さとバランスをもたらす要因となっています。これにより、ラグレインワインはフルーティでありながらもエレガントさを備えているのです。

ぶどう品種の特徴

改めて、このブドウ品種はトレンティーノ・アルト・アディジェ州の宝石とも言える存在で、主にオーストリアとの国境辺りで栽培されています。ラグレインのワインは、フレーバーノートに赤いベリーのアロマやスパイス、そして軽やかなタンニンが特徴です。味わいはジューシーでありながらもしっかりとした構造を持ち、飲みごたえがあります。

フレーバーノート味わいの最大の特徴フードペアリング(相性の良い料理)
赤いベリーのアロマジューシーさ簡単な調理をした肉料理
スパイスのニュアンス軽やかなタンニンチーズプレート
ほど良い酸味ハーブ入り料理

ラグレインの二面性

ラグレインはこの地方で栽培される特別なブドウ品種で、その特異な性格から異なる二つのスタイルのワインが生まれます。まず、淡い色合いのロゼタイプの「クレッツェル」。

このワインはスキアーヴァとのブレンドが一般的で、軽やかなタンニンと適度なミネラル感が特徴です。ラグレインの地元で親しまれる地酒として、素朴ながらも魅力的な味わいが楽しめる一品です。燻製香の効いたハムやクリーミーなチーズとの相性が抜群です。

もう一面…

そしてもう一つが「ドゥンケル」。ドイツ語で「色調が暗い、濃い」という意味です。かつては樽由来のポリフェノールの荒々しさが際立つ、濃厚なワインでしたが、時とともに洗練され、エレガントなスタイルへと変化してきました。昔のドゥンケルは、力強いグーラッシュやシチューとの相性が良く、そのパワフルさを引き立てていました。しかし、現代のドゥンケルは洗練されたタイプが主流で、幅広い料理に適応できるしなやかなワインとなりました。

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フードペアリング(地元で合わせられる料理)

トレンティーノ・アルト・アディジェ州では、ラグレインワインを地元の伝統料理とともに楽しむことが一般的です。このワインの果実味と軽やかなタンニンが、簡単な調理をした肉料理やハーブを使った料理と絶妙に調和します。

特に、地元のハムやミルクを使ったチーズ、そしてアロマ豊かなハーブを使った料理が、ラグレインワインとのマリアージュを楽しむ絶好の選択です。

クレッツェルの明るいロゼワインは、軽やかな料理や涼しい季節に最適です。一方、ドゥンケルは洗練された料理とも相性抜群。豪快なグーラッシュや煮込み料理、またはステーキなど、味わい深い料理と共に楽しむことができます。

アルト・アディジェ地方のラグレインは、その地域の歴史や特性を反映し、食との調和を楽しむワインとして魅力的です。その二面性を活かして、気分や季節に合わせて楽しむことができるのが、このユニークなワインの魅力なのです。

ぜひこの北イタリアの魅力的なワインをお試しください。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得

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