銘醸地の旅、南イタリア-カンパーニア州の白3品種:ティレニア海の古代の至宝

イタリアのカンパーニア州には魅惑的な白ワインの3品種がある: ファランギーナ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、そしてグレコ・ディ・トゥーフォである。これらのワインはルネッサンスを経験し、古代の起源に由来するエッセンスを取り入れながら、現代のワイン愛好家を楽しませている。彼らの生まれ故郷、豊かな歴史、ユニークな風味、そして楽しい料理との相性を発見する旅に出かけましょう。

起源と歴史

カンパニア地方で復活したこれらの古代品種のルーツを探ってみましょう。ファランギーナは、その系譜がローマ時代まで遡るほど古い品種で、マストロベッラ家が復興させるまでほとんど絶滅寸前でした。

もう一つの古代品種であるフィアーノ・ディ・アヴェッリーノも、同じ情熱的な家族によって再発見され、復活させられました。最後に、トゥーフォ地域で栽培されるグレコ・ディ・トゥーフォは、ローマ時代にまで遡る歴史を持つ、伝統に根ざした品種として知られています。

カンパニアの美しい地域で、ファランギーナ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、グレコ・ディ・トゥーフォの3つの古代品種の起源は、歴史の豊かな絵巻と結びついています。これらの品種はかつて絶滅の危機に瀕していましたが、マストロベッラ家が情熱をもって蘇らせ、カンパニアのワインメイキングの遺産に新たな息吹を吹き込みました。

ファランギーナは、ローマ時代まで遡る系譜を持つ品種で、カンパニアのブドウ栽培の歴史の中で特別な位置を占めています。かつてはこの素晴らしい品種が衰退し、近代的なブドウ栽培の浸食や無視によって脅かされていました。

しかし、マストロベッラ家はその潜在能力に気付き、ファランギーナの復活を目指して取り組みました。彼らの不断の努力により、この古代品種は忘れ去られた存在から救われ、その独特な特性が再び輝くことができました。

もう一つの著名な品種であるフィアーノ・ディ・アヴェッリーノも、同様の復活の物語を持っています。ローマ時代からのルーツを持つフィアーノ・ディ・アヴェッリーノは、この地域において長い歴史を持っています。

しかし、年月と共にその重要性は低下しましたがマストロベッラ家の情熱と探求心によって、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノは再び注目されるようになりました。

彼らはこの古代品種のポテンシャルを見出し、伝統的な栽培方法と現代のワインメイキングの技術を組み合わせることで、品質の高いワインを生み出しました。

グレコ・ディ・トゥーフォは、トゥーフォ地域で栽培される品種であり、ローマ時代からその存在が知られています。この品種は石灰質の土壌と温暖な気候に恵まれた地域で最もよく育ち、優れたワインの生産に適しています。

古代ローマの詩人ホラティウスもこの地域のワインの質を称えており、その歴史的な価値を物語っています。

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土壌と気候

カンパニアの土壌は火山活動によって形成された豊かな鉱物質を含んでいます。特に火山灰や溶岩が豊富な土壌は、ワインにミネラルのニュアンスや複雑さをもたらします。

火山性土壌は根深く透水性があり、根系が深く広がることでブドウの栄養吸収が促進されます。これにより、ブドウの品質と風味が向上し、独特なキャラクターを形成するのです。

また、カンパニアの地中海性気候もこれらの品種の栽培に理想的な条件を提供しています。地中海性気候は穏やかな冬と暑い夏、そして適度な降雨量を特徴としています。

この気候はブドウの熟成を促進し、果実の甘みや酸味、芳香をバランス良く発達させます。また、日中と夜間の温度差が大きいことも重要で、ブドウの成熟を遅らせることでより複雑な風味を生み出します。

カンパニアの土壌と気候の組み合わせは、ファランギーナ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、グレコ・ディ・トゥーフォなどの品種の栽培に非常に適しています。

これらの要素がワインに独自の個性と風味をもたらし、カンパニアの白ワインを世界的に評価されるものにしているのです。

3つのブドウ品種

ファランギーナ: ファランギーナは果実の香りと芳醇なノートが特徴の、ボディのある白ワインです。その風味は古代の起源を思わせるものであり、爽やかなキャラクターと鮮やかな酸味があり、どんな場面でも楽しめる魅力があります。

フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ: フィアーノ・ディ・アヴェッリーノは、柑橘系の香りと特徴的なミネラル感が特徴の高品質な白ワインです。上品なプロフィールと調和の取れたバランスは、あなたの味覚を魅了するでしょう。

グレコ・ディ・トゥーフォ: グレコ・ディ・トゥーフォは乾燥して繊細な性格で、柑橘系やハーブの香りと豊かな酸味が特徴です。この白ワインは驚くべき新鮮さと複雑さを持ち、カンパニアの真の宝物となっています。

これらの品種は、それぞれ異なる特徴を持ちながらも、カンパニアの白ワインの優れた個性を引き出しています。ファランギーナの果実のような香りや芳醇なノート、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノの柑橘系の香りとミネラル感、グレコ・ディ・トゥーフォの乾燥した繊細さと豊かな酸味は、それぞれの品種の個性を際立たせています。

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フードペアリング

カンパニアのワインの探求は、美味しい地元料理を体験することなしには完結しません。新鮮なシーフード、水牛のモッツァレラチーズ、焼き野菜、香り高いソースがかかったパスタなど、これらの白ワインと伝統的な料理の完璧なハーモニーを見つけてください。

地域のフレーバーがこれらの素晴らしいワインと美しく調和することによって、あなたの味覚が刺激されるでしょう。

カンパニアの料理は新鮮な食材や伝統的な調理法に基づいており、地元のワインとの相性が抜群です。海の幸を使った料理は、ファランギーナ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、グレコ・ディ・トゥーフォなどの白ワインと特に相性が良く、その豊かな風味や繊細な特徴を引き立てます。

例えば、新鮮なシーフード料理は、ワインのフルーティーなノートや鮮やかな酸味と相性が良く、互いを引き立て合います。水牛のモッツァレラチーズはクリーミーな口当たりと軽やかなワインとの組み合わせが絶品です。

また、焼き野菜のナチュラルな甘みとワインのミネラル感が調和し、お互いの特徴を引き立てます。さらに、香り高いソースを絡めたパスタは、ワインの芳香と共鳴し、味わい深い食事の一環となります。

試してみるべき生産者

VINOSIA ヴィノジア

カンパーニア州で土着品種アリアニコの可能性を世界へと知らしめたフェウディ・ディ・サングレゴリオの設立者の1人、マリオ・エルコリーノ氏によって2003年に設立したヴィノジア。 所有畑はイルピニア全域に広がり、石灰や粘土を含むミネラル豊富な古い火山性土壌の畑でブドウを栽培。 また、タウラジ屈指の銘醸畑と称される「ラヤマグラ」を所有しており、これらの独特な土壌に加え海抜の高さと昼夜の寒暖差が大きい大陸性気候により、エレガンスとミネラル感を備えたワインが誕生します。 品種毎に最適な仕立てや植樹密度を考え、収量を制限し、完熟のピークまで待って手作業でブドウを収穫。 隣州のプーリアにある契約畑においても例外ではなく、クオリティを確保するため自社畑と同じく栽培から深く関わっています。

醸造過程においては「そのプドウが育ったテロワールを表現すること」を最も重要視しており、土着ブドウの個性と現代的な感性が見事に融合したモダンでクリーンなワイン造りを実践しています。

ヴィノジアでは「すぐにそして普遍的に楽しめるワイン、造り手の想いとテロワールが詰まったワインを飲み手により身近に感じてもらうこと」を追求し、現状に慢心することなく更なる高みを目指しています。
今日ではマストロベラルディーノなど古参のトップ生産者に並び、カンパーニア最高のワインを手掛ける造り手の1つに数えられ注目を集めています。

FELICITY

SINTONIA シントニア

土着ブドウの個性と現代的な感性が見事に融合した、凝縮した果実味を備えるモダンでクリーンなワインの造り手として人気の高いヴィノジア。

ヴィノジア・シントニアは、カンパーニアを代表する偉大な2種の白ブドウの魅力が表現された飲み応えのある白ワインです。

FELICITY

FALANGHINA ファランギーナ

土着ブドウの個性と現代的な感性が見事に融合した、凝縮した果実味を備えるモダンでクリーンなワインの造り手として人気の高いヴィノジア。 ヴィノジア・ファランギーナは、爽快感と飲み応えのバランスが素晴らしい。カンパーニアのファランギーナを代表する1本です。

FELICITY

GRECO DI TUFO L’ARIELLA グレコ ディ トゥーフォ ラリエッラ

土着ブドウの個性と現代的な感性が見事に融合した、凝縮した果実味を備えるモダンでクリーンなワインの造り手として人気の高いヴィノジア。 砂岩が多くカルシウムが豊富な土壌を持つラリエッラの区画のブドウを使用して造るヴィノジア・グレコ・ディ・トゥーフォ・ラリエッラ。 グレコの個性溢れる力強く骨太な旨味が詰まったリッチな味わいです。

Mastroberardino Societa’ Agricola Srl マストロベラルディーノ

カンパーニア州で1878年に創業したマストロベラルディーノ。ワイン造りの歴史そのものは1750年頃から脈絡と続いているという名門ワイナリーです。
元々は「ベラルディーノ」という名前でしたが、2代目当主であるピエトロ氏が「マストロ=名匠」という称号を得たため、「マストロベラルディーノ」というワイナリー名になりました。
「この蔵の存在なくして、現在のカンパーニアはなかった」と最高の敬意を持って語られる造り手です。

第二次大戦後~近年にかけて押し寄せた国際ブドウ品種の波にも負けず、カンパーニア州原産ブドウへの一貫したこだわりとカンパーニアの伝統的なワイン造りの歴史を守り続けてきました。
また、歴史と伝統に育まれたワイン文化を重んじながらも最新の設備を取り揃え、現在ではイタリアのみならず世界的に高い評価を得るまでに成長しました。その格式の高さと信頼性から、イタリア政府機関からポンペイの遺跡から発掘されたブドウ畑よりワインを造るプロジェクトを託されるなど、南部のみならずイタリアを代表する造り手として認められています。

FELICITY

Fiano di Avellino Radici ラディーチ フィアーノ ディ アヴェッリーノ

ラディーチとは「根」の意。
海抜520-620mの単一畑Santo Stefano del Sole で造られる力強さとエレガンスを併せ持つミネラル感に富んだ上級フィアーノ

FELICITY

Greco di Tufo グレコ ディ トゥーフォ

古代ギリシャ時代から存在しているとされている歴史の古い品種。Grecoはギリシャを指しており語源となったとされている。黄金色に近い黄色で豊かな香りを持つ。 酸味がしっかりしており塩味、若干のタンニン、アーモンドをローストした香りも。非常に硬質なワインで熟成により、しっかりしたナッツの香りが出る。

FELICITY

FIANO DI AVELLINO フィアーノ ディ アヴェッリーノ

マストロベラルディーノのワインは、バランスのとれたエレガントなスタイル。 料理の旨みを引き立てるミネラルと洗練された酸味が備わっています。 カンパーニア州の食文化は、山海の幸をふんだんに使い、素材の味を活かす調理法など、日本と共通する部分が多いと言われています。 大いに食を楽しむ人々を楽しませるべく繁栄を遂げたワインは、日本食との相性も素晴らしく、新たな醍醐味を教えてくれます。

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More Maiorum Fiano di Avellino モレ マイオルム フィアーノ ディ アヴェッリーノ

ラテン語で「伝統的な醸造方法」を意。昔から行われてきた小さい樽での醸造を踏襲したワインとして名づけられました。ラベルに記載されている文字はラテン語で、「蜂が集まるブドウ」を表しています。

単一畑で収穫されるフィアーノを樽熟成させています。

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さいごに

カンパニアのワインは、その栽培に適した土壌と気候、古代の起源、そして情熱的な家族の努力によって生まれました。ファランギーナ、フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ、グレコ・ディ・トゥーフォといった品種は、その個性と品質の高さで人々を魅了しています。ぜひ、カンパニアの白ワインの魅力を体験し、一口ごとに感じるその奥深さと歴史を楽しんでください。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得

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