銘醸地の旅、北イタリア-バルベーラワイン:ピエモンテのシンデレラ品種
バルベーラというブドウ品種の魅力的な世界へようこそ。
この記事では、農民のワインと称されるバルベーラの起源、重要な産地、魅力的な味わいやキャラクターについて探求します。素晴らしいブドウ品種であるバルベーラの魅力に触れるために、お楽しみください。

農民からシンデレラに?
バルベーラは、イタリア北西部のピエモンテ州で栽培されるぶどう品種であり、濃い色合いと豊かな味わいを持ち、サクランボ、黒スグリ、スパイスなどを思わせる香りが特徴です。他の赤ワイン用ぶどう品種に比べてタンニンの少なさが特徴であり、同時に酸味も強いため、濃厚なピエモンテ料理との相性が抜群です。
長い間、バルベーラは地味な存在でした。ピエモンテ全域で栽培され、手ごろな価格の日常的なワインとして楽しまれていましたが、その真の美しさは長らく見過ごされていました。
やがて、時が経ち状況は変化しました。19世紀後半、フィロキセラという害虫によってぶどう畑が壊滅的な被害を受け、多くのバルベーラが植えられることとなりました。バルベーラは農民にとって収穫量が多く、きわめて寒さに強いという特徴から育てやすく経済的な利益をもたらす品種でありましたが、その結果、低品質のものが大量に生まれることになり、結果としてピエモンテでのバルベーラの評価は低くなってしまいました。
しかし、一部の生産者たちは常にバルベーラに注目し、高品質なワインを生み出す努力を続けてきました。彼らはバルベーラを大切に栽培し、深みのある長寿なワインを作り出しました。これらのワインは主に親戚や友人のために生産され、バルベーラを愛する少数の熱烈なファンによって評価されてきました。
時を経て、ほかのブドウ品種と共に、バルベーラの品質も向上しました。収量を制限することで、濃厚で強烈なワインが生まれました。また、特に1980年代以降、ピエモンテの一部の洗練された生産者たちは、フランス産のオーク樽を使用することに魅了されました。オーク樽はバルベーラワインの複雑な風味を引き立て、滑らかさと絶妙なバランスを与えることができます。
これらの努力と投資の結果、バルベーラは再び注目を浴びるようになりました。多くのワイン評論家や愛好家が、その独特の個性と高品質に魅了されています。バルベーラの栽培地域はピエモンテ州内外に広がり、各地域の土壌や気候の特徴がワインに異なるニュアンスを与えています。
こうした小間使いとして、便利に使われてきたバルベーラが品質の改良と、オーク樽のお化粧によって味わいに濃厚さと、色の安定により長期の保存が可能になりました。これら特徴的な存在感から、シンデレラのようだと称されてることがあります。
産地の情報
イタリア ピエモンテ州
バルベーラはブドウの品種であるとともに、それから作られるワインの名前である。バルベーラはモンフェッラート地方が起源とされるブドウであり[25]、ピエモンテの赤ワインの半分ほどがバルベーラから作られる[26]。そのかなりの部分はDOCであり[27]、バルベーラ・ダスティのようにDOCGになっているものもある[23]。
ニッツァ・モンフェッラートは、なだらかな丘陵に位置するコムーネで、バルベーラの育てられているブドウ畑に囲まれている[24]。世界遺産としては、そのブドウ畑だけでなく、ニッツァ・モンフェッラートがバルベーラのワイン販売と結びつく歴史的な市場町であり、ブドウ栽培に関連する地域の伝統を伝えている点も特筆されている[23]。ニッツァ・モンフェッラートの目抜き通りには、中世を偲ばせる歴史的な建造物が並んでおり、州立エノテーカもその通りにある[24]。
wikipedia
気候と土壌
イタリアのピエモンテ州に位置するバルベーラ・ダルバ(Barbera d’Alba)とランゲ(Langhe)地区は、異なる気候条件と土壌タイプを持っています。これらの要素は、バルベーラワインの風味と特性に大きな影響を与えています。
バルベーラ・ダルバとランゲ地区の気候は、一般的に大陸性気候と地中海性気候の影響を受けています。これらの地区はアルプス山脈の近くに位置しており、標高の差や山々の影響により、微気候の変動が生じます。一般的には、バルベーラ・ダルバ地区はより大陸的な気候であり、冬は寒く、夏は暑くなります。一方、ランゲ地区はより地中海性気候であり、温暖な日々と涼しい夜が特徴です。このような気候条件は、バルベーラワインの成熟度や酸度のバランスに影響を与えます。
土壌については、バルベーラ・ダルバ地区では主に石灰岩と粘土が混ざった土壌が広がっています。これらの土壌は保水性が高く、ワインに芳醇な風味と力強い酸度をもたらします。また、バルベーラ・ダルバ地区には多くの斜面が存在し、土壌の排水性も良好です。これにより、ブドウの根が深く成長し、複雑な風味を引き出すことができます。
一方、ランゲ地区の土壌は多様性に富んでいます。タフト、サンド、粘土、石灰岩、シルトなどの異なる成分が混ざり合っています。これらの多様な土壌は、バルベーラワインに異なるニュアンスと複雑さをもたらします。例えば、石灰岩の土壌はワインにミネラル感とエレガントな特性をもたらし、粘土の土壌はワインに豊かな果実味と濃度を与えます。このような土壌の多様性は、バルベーラの栽培地域ごとに個性的なワインが生まれる要因となっています。
バルベーラ・ダルバ地区とランゲ地区の気候と土壌の組み合わせは、バルベーラワインの特徴的な品質を形成しています。バルベーラ・ダルバ地区の大陸性気候と石灰岩と粘土から成る土壌は、酸味のある果実味、しっかりとした骨格、豊かなタンニンをもたらします。バルベーラワインは若いうちから飲まれることが一般的であり、そのフレッシュな特性とバランスの良さが楽しまれます。
一方、ランゲ地区の地中海性気候と多様な土壌は、バルベーラワインにより洗練された特性を与えます。異なる土壌タイプの組み合わせにより、複雑な風味プロファイルと深みのある味わいが生まれます。これらのワインは熟成能力も高く、数年以上の瓶熟によってより豊かな味わいと複雑さを発展させることができます。
バルベーラの特徴
項目 | 特徴 |
---|---|
フレーバーノート | 濃い赤い果実、サクランボ、黒スグリ、チェリー、プラム、スパイス |
酸味の強さ | 高い |
タンニンの強さ | 低から中程度 |
フードペアリング | バーニャ・カウダ、ミートソース系料理、ステーキや肉の煮込み、 |
バルベーラ種から作られるワインの色は、濃いルビー色で、そして香りは繊細、ブドウ本来の香りを持ち。そこに心地よいスミレの香りを感じるフルーツの香りがします。バリックで熟成を持たせたものであれば、香辛料の香り、煎った香り。そして、それらが非常に複雑な香りとなります。味は、酸味とタンニン、アルコールとのバランスが非常に良く、しっかりとしたボディを持ち、ほんのりとフルーツの感じのアロマティック風味が持続します。
フードペアリングにおいては、バルベーラワインはトマトベースの料理やミード系パスタ、ステーキや肉の煮込み料理などとの相性が良いとされています。酸味の高さがトマトの酸味やハーブの風味と調和し、料理の味を引き立てます。
試してみるべき生産者
BRAIDA(ブライダ)
ブライダは、バルベーラの歴史を変えたと言われる、ピエモンテでもトップクラスのワイナリー。 創業者の故ジャコモ・ボローニャの存在を無くして現在のバルベーラワインの繁栄を語ることはできません。 ジャコモ・ボローニャ氏はあらゆる面において非凡な人物で、幸せを生活の理念とし、多くの人に愛され、機知に富んだエンターテイナーであると同時に、天才的な感性を持った醸造家でもありました。
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Barbera d’Asti DOCG Ai Suma(バルベーラ ダスティ アイスーマ)
バルベーラの最高峰と名高いブライダの最上級ワイン、アイスーマ。 ワイン名の「Ai Suma」とは方言で「やったぞ!」という意味。 最初のヴィンテージとなった1989年の並外れたブドウの出来に、喜びのあまり初代ジャコモ・ボローニャ氏が叫んだ事から名付けられました。 名前の通り、優れた収穫年にのみ生産される優良年限定キュヴェです。 遅摘みのバルベーラを100%使用し、オーク樽(225L)で15ヶ月の熟成後、さらに瓶内で12ヶ月熟成されます。
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FRANCESCO RINALDI & FIGLI(フランチェスコ リナルディ エ フィーリ)
フランチェスコ・リナルディは、世界で最も美しい丘の一つと言われるランゲの中心部、バローロで、1870年に設立されました。ピエモンテで最も古いバローロ生産者の一つで、150年あまりの歴史を持つ由緒ある造り手です。初代当主ジョヴァンニ・リナルディは19世紀に現在のブドウ畑を購入、ワイン造りを始め、ワイナリーに息子フランチェスコの名前を付けました。現在はフランチェスコの孫にあたるパオラとピエラが当主を務めています。
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Barbera d’Alba DOC(バルベーラ ダルバ DOC)
バローロ村のカンヌビの丘の平地にある砂質の土壌の畑と、ラ・モッラ村の石灰質を含む粘土質の土壌の畑のブドウを使用。畑は標高200~320メートルに位置し、主に南と南東に面しています。
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ステンレスタンクまたはセメントタンクで温度管理し、15日間果皮と一緒にアルコール発酵。圧搾後、アッサンブラージュ。スラヴォニアのオーク樽で1年以上熟成、数ヶ月間瓶内熟成させます。
Casa Vinicola Bruno Giacosa(ブルーノ ジャコーザ)
ピエモンテ州の伝統派の王者として君臨する生産者。畑と醸造における伝統に敬意を払うという、単純にして明瞭な哲学の下にワインは造られています。シンプルだからこそ出せる、独特のフィネスがこのワインにはあり、世界中からイタリアを代表する生産者と認められ、「バローロのロマネ コンティ」とも評される生産者です。ブルーノ氏は2018年にお亡くなりになりましたが、現在は娘のブルーナ氏がワイナリーを継いでいます。
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Barbera d’Alba(バルベーラ ダルバ)
カシスやベリー系の目の詰まった
鮮やかな果実風味
スパイス感に細かいタンニンと
フレッシュな酸「ワイン造りは小さい作業、判断の積み重ねが連鎖した飲み物です。前に決めた事が後々の作業や決定に大きく影響してきます。だからこそ全ての判断が適切でないと良いワインにはなりません。」この言葉にブルーノ ジャコーザ氏のワイン哲学が集約されている。 ※ブルーノ ジャコーザは契約農家のブドウから造られるワインです。
FELICITY
PAOLO SCAVINO(パオロ スカヴィーノ)
パオロ・スカヴィーノは、バローロ産地の発展の歴史にその名を刻む、バローロの生き証人たるワイナリーです。
FILICITY
バローロは、イタリア最高峰の赤ワインの代名詞として華やかな歴史と名声を誇りますが、そのブドウを造る農民の多くは60年代までは貧しい栽培農家でした。彼ら小作農が造るネッビオーロ種は大手メーカーに買い叩かれ、小作農たちは貧困を極めていました。現在のパオロ・スカヴィーノの当主エンリコ・スカヴィーノは、その時代に多感な思春期を過ごしました。彼は、10代後半からワインに情熱を持ち、所有するバローロのブドウ畑のテロワールの個性の表現を模索し始めたのです。エリアのほぼすべての農民が大手に依存する支配構造の中、エンリコは勇気を持って大手メーカーにブドウを売るのをやめて、すべてのブドウを自分で醸造し、さらに78年には単一畑のブドウからバローロの醸造を始めました。
こうして生まれたテロワールの個性を反映した美しいバローロは、世界中の反響を呼んで高い評価を受け、他の小作農たちを鼓舞することになりました。テロワールの表現と栽培へのこだわりに加え、醸造においても、デリケートな抽出ができる回転式発酵タンクの導入、古樽熟成の試み、過度な抽出を避けるためのマセラシオンの短縮化などを先駆的に行ったのもスカヴィーノです。パオロ・スカヴィーノのバローロに憧れた地元の農家たちもワイン生産に挑戦し、全体の品質を底上げしていきました。こうして彼らは「バローロ・ボーイズ」と呼ばれる近代派バローロ、すなわち「独立農民による手作り、小仕込み高品質バローロ」を築き上げたのです。
BARBERA D’ALBA(バルベラ ダルバ)
伸びのある果実香や緻密でキメ細かい
酸とタンニンなどが美しくまとまった
優しさに溢れた女性らしいワイン「バローロの雄」パオロ・スカヴィーノは、バローロの11村の、6つのグランクリュを所有する珍しいワイナリー。
FELICITY
バルベーラ・ダルバD.O.C.ラ・モッラ村ブリッコ・マネスコッタの畑のブドウを使用。
LA SPINETTA(ラ スピネッタ)
ラ・スピネッタ社の創業は1977年。
80年代後半にリリースしたモスカート・ダスティが、世界中のレストランやワイン評論家から高い評価を得て、ラ・スピネッタ社の名声が広まりました。
ジョルジョリヴェッティ氏を中心に、妥協を許さないワイン造りへの情熱が、バルベーラ、バルバレスコ、そしてバローロなどの素晴らしいワインを生み出しており、2016年現在、ガンベロロッソにおいてイタリア全土で3番目に多い、38のトレ・ビッキエーリを獲得しています。ラ・スピネッタ社のワイン造りは、味わいやアロマ、品種の国際化からは一線を画し、出来る限りその土地の伝統に近づいた、固有の味わい、個性を目指しています。
FELICITY
「私たちは私たちの土地に、土地が造り出す物に対して確固たる信念をもち、敬意を表しています。私たちが栽培するのは、その土地の土着品種、その土地に根付いた品種のみです」
という信念から、その土地を表現したワインをピエモンテとトスカーナで造り続けているのです。
また、ラ・スピネッタ社は、「ワイン造りの90%は畑での仕事にある」と考えています。そのため、ブドウは最大限の注意を払って栽培。化学薬品の使用は最小限に控え、収量を抑えて(1.7~2t/ha)栽培しています。
Ca di Pian Barbera d’Asti D.O.C.G.(カ ディ ピアン バルベーラ ダスティ)
濃厚なブラックベリーやプラムの香り
タンニンと酸のバランスに優れた
ラ・スピネッタ自慢のバルベーラ
アルコール発酵後、フレンチオーク樽でマロラクティック醗酵。
FELICITY
新樽バリックと使用済みバリックで12ヶ月熟成。
その後、ステンレスタンクで6ケ月、瓶で2カ月熟成させる。
フィルターにはかけず、清澄剤も使用しないこだわり。
記事を書いた人

- ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得
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