銘醸地の旅、キャンティークラシコ:高雅で模範的な黒き雄鶏の話
キャンティ・クラシコの魅力的な世界へようこそ。ここは歴史、伝統、そして素晴らしいワインが結びつく場所です。トスカーナの中心部、具体的にはキャンティ・クラシコ地域には、主にサンジョヴェーゼ種を使用して作られる名高いワイン、キャンティ・クラシコがあります。
このユニークなワインには、地域の伝統に根ざした豊かな歴史があります。この素晴らしいワインの秘密、味わい、そして発見を解き明かす旅にご一緒しましょう。

キャンティ・クラシコ歴史と産地
キャンティ・クラシコの歴史は古く、13世紀から続いています。この地域はトスカーナ州の中央に位置し、美しい丘陵地帯が特徴です。キャンティ・クラシコのワイン生産は、古代エトルリア人にまでさかのぼることができますが、近代的なキャンティ・クラシコの形成は19世紀にさかのぼります。
キャンティ・クラシコは、1967年にDOC(原産地呼称統制)ワインとして認定されました。そして、1996年には最高品質を示す「クラシコ」の称号を取得しました。現在、キャンティ・クラシコは地理的表示(DOCG)として認識され、品質と伝統の象徴となっています。
生産地域
キャンティ・クラシコの生産地域は、トスカーナ州のフィレンツェ、シエーナ、アレッツォ、ピストイアの一部を含みます。特定の地理的制約と条件があり、ワインの品質を保証します。
キャンティ・クラシコ地区の気候は、地中海性気候に該当します。地中海性気候は、通常、温暖な夏と穏やかな冬、降水量が比較的均一に分布する特徴を持っています。トスカーナのキャンティ・クラシコ地区もこの気候特性を共有しています。
アペニン山脈の西側に位置しており、山々によって守られています。この地形は、地中海性気候の影響を受けやすく、温暖な夏と涼しい冬をもたらします。また、海洋からの湿った風が吹き込むため、降水量は比較的均一に分散され、ブドウの栽培に適した環境を提供します。
ブドウ品種
キャンティ・クラシコは、最低80%以上がサンジョヴェーゼ種のブドウから作られます。残りの20%以下は、スカーナ州原産のカナイオーロ・ネーロ、チリエジオーロ、コロリーノ、フォリアトンダ、マルヴァジア・ネーラ、マンモロ、プニテッロです。この他にもカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーといった世界的に主流な品種などの許可された品種から選ばれます。
地中海性気候は、ワインのベースとなるキャンティ・クラシコのワイン生産に非常に適しており、サンジョヴェーゼなどの品種が十分な成熟を遂げることができます。温暖な日照条件と涼しい夜間の温度差は、ワインに豊かなフルーツの風味と良好な酸構造をもたらします。
サンジョヴェーゼの種は、比較的大きめで厚みがあります。これにより、ワインに豊かなタンニンが抽出される傾向があります。タンニンは、ブドウの種や果皮に含まれるポリフェノール化合物であり、ワインの構造や渋みの要素となります。この種の大きさのは、ブドウの搾汁や発酵プロセス中にタンニンがより多く抽出される可能性があります。これによって、ワインには豊かなタンニンの存在感や力強さが感じられます。
ただし、ワインのタンニンの濃度や質感は、単に種の大きさだけで決まるわけではありません。他の要素、例えば果皮や樹木の管理、発酵時間なども影響を与えます。また、栽培地の気候や土壌条件もタンニンの形成に影響を与える重要な要素です。
栽培方法
ワインの品質向上と土地の保護を目指して、キャンティ・クラシコのブドウ畑では持続可能な栽培方法が奨励されています。化学的な肥料や農薬の使用は制限され、手作業による栽培が重視されています。
ワイン製造
キャンティ・クラシコのワイン製造には、規定された製造手法と熟成期間があります。2006年からは、使用するワインには黒ブドウのみを使用することを規定されました。また、最低限ワインは11カ月以上熟成させる必要があります。レゼルヴァ(Reserva)と呼ばれるワインは、最低2年間+3カ月瓶内の熟成が必要です。
2013年に登場した新しい規定キャンティ・クラシコ・グラン・セレツィオーネは、ブレンドしてよいのは自社畑で生産した黒ブドウのみ。最低熟成期間は30ヶ月、その後瓶内で3ヶ月以上熟成させる。アルコール度は13%以上など厳しい決まりがあります。
ワインの特徴
キャンティ・クラシコは、一般的に豊かな果実味と鮮やかな酸味を持ち、しっかりとしたタンニン構造を備えています。
長めの熟成によって、ワインは複雑な香りと滑らかな口当たりを発展させます。
- 豊かな果実味と鮮やかな酸味を持つ。
- 熟成により、複雑な香りと滑らかな口当たりが発展する。
- タンニンが程よく存在し、バランスの取れた構造を持つ。
- フルボディでありながら、優雅な風味を備える。
- レッドフルーツのニュアンスやスパイスのアクセントが感じられる。
黒い雄鶏のマーク(ガッロ・ネーロ)
キャンティ・クラシコのボトルには、キャンティ・クラシコのシンボルである黒い鶏(ガッレロ・ネッロ)のシールが貼られます。この鶏マークは、キャンティ・クラシコの品質と起源を保証する重要なシンボルとなっています。
一つの伝説によれば、中世のキャンティ地域では、フィレンツェとシエーナの間で領土争いが激化しました。双方の都市は争いの解決方法として、騎士同士の騎馬戦を行うことになりました。
争いの日が訪れ、騎士たちは厳しい戦いを繰り広げました。その際、シエーナ側の騎士が黒い鶏を持ち、それを見たフィレンツェ側の騎士たちは勇気づけられ、戦いに勝利したといわれています。このエピソードがキャンティ・クラシコの黒い鶏の由来となりました。
もう一つの伝説によれば、キャンティ地域で鶏の飼育が盛んであったため、鶏がその地域のシンボルとなったとされています。黒い鶏は品種として存在するわけではなく、あくまで象徴的な意味を持っています。
現在では、キャンティ・クラシコのボトルには、黒い鶏のシールが貼られています。このシールは、キャンティ・クラシコの品質と起源を示し、消費者に信頼性を保証する役割を果たしています。
キャンティーとキャンティー・クラシコは別物
イタリアのワインの中で、キャンティとキャンティ・クラシコという地名が似ているため、混同されがちですが、実際のワインとしては全く異なるものです。キャンティ・クラシコは、キャンティ地域の特定の地区で生産される特別なワインであり、その品質と歴史的な背景によって他のキャンティワインと区別されます。
どちらもキャンティ地域で生産されており、サンジョヴェーゼという品種がどちらにも主に使われます。キャンティーもキャンティークラシコも、ブレンドが許されており、そのブレンド比率と熟成期間の違いにも味わいの違いが生まれます。キャンティーでは、サンジョベーゼ70%以上、その他の品種が最大30%で熟成期間は最低4カ月です。キャンティクラシコはサンジョベーゼが最低80%以上、その他の品種が20%、熟成期間は11カ月とキャンティーと比べて長めに規定されています。サンジョヴェーゼはイタリアを代表するブドウ品種であり、キャンティ地域の土壌と気候に適応し、独特の風味を持ったワインを生み出します。
しかし、近年のワイン市場の国際化の影響で、一部の生産者はサンジョヴェーゼの伝統的な味わいから逸脱し、国際的な品種の特徴を意識した味づくりに走る傾向が見られます。これは、サンジョヴェーゼの真の魅力を表現する上で残念なことです。
一方で、キャンティ・クラシコ地区では、サンジョヴェーゼに特化した取り組みが行われており、その中でも「キャンティ・クラシコ2000」というプロジェクトでは、サンジョヴェーゼのクローン選定が行われ、最高品質のワインを生み出すための努力がなされています。この取り組みによって、キャンティ・クラシコワインの品質は向上しており、その評価も高まっています。
ただし、これは国際的な品種の影響を受けて、クローンの選定されているということは、サンジョヴェーゼの本来の特徴や個性を表現することが出来ているのか?という課題も抱えていることは、覚えておいて欲しいです。
キャンティ・クラシコは、そのワインの味わいの特徴でも他のキャンティワインとは一線を画します。典型的なキャンティ・クラシコのワインは、フレッシュでフルーティーな特徴を持ちつつ、優れた酸味としっかりとしたタンニンを備えています。フレーバーノートは、赤い果実やチェリー、プラム、スパイス、ハーブのニュアンスがあります。酸味の強さは中程度であり、タンニンの強さは程よくバランスが取れています。
また、このワインは、多様なフードとのペアリングに適しています。特にトスカーナ料理やイタリアンキュイジーヌとの相性は抜群です。トマトベースのパスタ、グリルされた肉料理、ハーブの効いた料理、ハードチーズなどとの組み合わせがおすすめです。
イタリア系レストランの他トマト系ソースのパスタや、ピザを出す料理店でのフードペアリングは役立つことでしょう。
ねらい目の生産者
ANTINORI
マルケージ アンティノリ Srl は、トスカーナ州フィレンツェに拠点を置くイタリアのワイン会社で、その歴史は 1385 年まで遡ることができます。[1]同社はイタリア最大のワイン会社の 1 つであり、そのイノベーションは「スーパーワイン」に大きな役割を果たしました。1970年代のトスカーナ革命。
アンティノリは、Primum Familiae Viniのメンバーであり、世界で10 番目に古い家族経営の会社です。[2]
https://en.wikipedia.org/wiki/Antinori
イタリアで長年愛され続けるキャンティ クラシコの名門。幅広い食事と合わせてお楽しみいただける、チャーミングな美味しさ。アンティノリは、はるか14世紀よりワイン史に足跡を残すトスカーナ州フィレンツェの偉大な名門メーカーです。こちらはキャンティの主要な品種であるサンジョヴェーゼを主体に、メルロ、シラーをブレンド。洗練されたモダンな雰囲気が漂う、非常にバランスの取れたスタイルが魅力です。幅広いお食事に合わせやすく、どんな場所でも活躍する気取らない美味しさの赤ワインです。
Borgo Scopeto
https://www.borgoscopetorelais.it/en/index
「キャンティ・クラシコ」はキャンティ・クラシコ地区カステルヌオーヴォ・ベラルデンガ、単一畑ミシャーノ、単一畑フォルナチーノから。 手摘みで収穫されます。近年のリニューアル及び拡張されたセラーでは、最も近代的なワイン造りの技術が備わっています。サンジョベーゼの比率も高く、クラシックでエレガントなスタイルの一本です。
Tasting Note スグリやチェリー、ルバーブ、タバコのフレーヴァー。
自然と太陽の恵みを受けたたっぷりした果実感。
酸は穏やかでタンニンとのバランスに優れた味わい。
長い余韻の後の引き締まったアフターが美しい。
ボルゴ・スコペートのトスカーナIGTロッソは、格上となるキャンティ・クラシコと、ブルネロ・ディ・モンタルチーノの葡萄を用いており、格付けを遥かに超える究極のIGTトスカーナとして知られます。
通常のIGTトスカーナでは使用されることのない格上区画の高品質な葡萄を使用する為、程よい酸味と複雑な果実味を感じる上質な1本に仕上がっており、この価格ながら、世界的ワイン評論家ジェームス・サックリング氏から、92点の評価を獲得しています。
また、原料となるキャンティ・クラシコ地区のサンジョベーゼは、ワインスペクテイター誌の「キャンティ部門」で1位を受賞したキャンティ・クラシコを生み出す葡萄です。更に、このワインのもう一つの原料となるブルネッロ地区のサンジョベーゼは、ブルネッロ地区のなかでもベストパートと言われるモンタルチーノの丘の北部で実る最高の葡萄です。
BANFI
バンフィ社はトスカーナ州の中心部に位置するシエナ県モンタルチーノ市に、約800ヘクタールのブドウ畑を含む、広大な敷地と近代的な醸造設備を持ち、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノやスーパータスカンを生産するイタリアでもトップクラスのワイナリーです。
トスカーナ州モンタルチーノの南斜面に流れるオルチャ川とオンブローネ川の間に位置するカステロ・バンフィ。
バンフィのブドウ農園には独自のワイン文化と伝統があり、トスカーナの特性を余すところなく表現しています。
また、バンフィは自社のブドウ農園だけでなく、その地域の他のエリアから選ばれたブドウも使用。
バンフィのトスカーナ・ワインは、飲みやすいスタイルで喜びと本物の自然が感じられます。
Tasting note
濃いモーブレッド色。 チェリー、プルーン、ブラックベリーといった様々な強い香りがあり、リコリスのほのかにスパイシーな香り豊かです。 丸みのあるフルボディ。 程よい酸味でバランスも良く、余韻が非常に残ります。
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