銘醸地の旅、クレマン編 : 日常も華やかに彩る!クレマンの可能性

スパークリングワインは、リッチで華やかな場面にぴったりの飲み物と思われがちですが、実は日常の食卓でも楽しむことが可能です。

高価で華やかなシャンパーニュの他にも、同様に魅力的ながら、低価格の発泡ワインが存在します。その1つがフランスのクレマンたちです。

本記事では、代表的なクレマンの特徴と魅力ついてご紹介し、料理との組み合わせについて提案をしていきます。

「クレマン(Crémant)」とは…

クレマンは、シャンパーニュ地方以外のフランス国内の認められた地域で造られる、高品質なスパークリングワインの総称です。

シャンパーニュと比べると手ごろな価格でありながら、品質は決して劣りません。クレマンはフランス各地で生産されており代表的なところでは、アルザスやブルゴーニュ、ロワール、ジュラ地方などがおすすめです。

フランスのクレマンは、現在8地域あります。それぞれの地域でのブドウの品種や栽培法、気候の違いが多様な、クレマンの個性を生み出しています。

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クレマンの魅力

クレマンは、フルーティーで爽やかな甘みが特徴的です。使用されるブドウ品種によって、その味わいは多様であり、リンゴや洋梨、桃などのフルーツの風味が楽しめます。

さらに、クレマンは価格面でも魅力的であり、高品質なスパークリングワインを手軽に楽しむことができます。クレマンはフランス国内で厳しい基準をクリアしたワインに与えられる「アペラシオン・クレマン・コントロレ(AOC)」の認定を受けており、その品質と信頼性が保証されています。

代表的な産地とあじわいの特徴

クレマン・ド・アルザス

クレマン・ド・アルザスは、フランス北東部のアルザス・ロレーヌ地方で作られるクレマンです。

ピノ・ブラン、ピノ・グリ、ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネ、オーセロワなどのブドウ品種が使用され、爽やかで気品があり、きりっとした酸味が特徴となっています。

クレマン・ダルザスの消費量はフランス国内で最も多く、特にロゼのクレマンはフィネスに富んでいます。

Cremant d’Alsace Brut Cuvee Julien Dopff au Moulin

【受賞暦】サクラアワード2022でダブルゴールド獲得(NV)

ピノ・ブランとピノ・オーセロワをブレンドして造られるブリュットキュべは、一次発酵はステンレスタンクで行い、その後シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵を約18ヶ月間行います。ドサージュは7g/L。透明感のある淡い黄色の色調が可憐で、ピノ・ブランの総体的なフィネスとピノ・オーセロワによる骨格が織り成す味わいが特徴です。

クレマン・ド・ロワール

クレマン・ド・ロワールは、フランス最長のロワール川沿いに位置するワイン生産地で、そのテロワールから多様性豊かなワインを生み出しています。

この地域では、シュナン・ブラン、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、ピノ・ノワール、グロローなど、さまざまなブドウ品種が栽培されています。

特にシュナン・ブランを使ったクレマンは、石灰質の土壌との相性がよく、ミネラル豊かなアロマと特性を持っています。

クレマン・ド・ロワールは、トゥーレーヌ地区を中心に生産されており、手摘みのブドウを使用することが義務付けられています。

また、瓶内でオリに触れた状態で少なくとも12ヶ月熟成させられてから出荷されます。白とロゼの2種類があり、白はかんきつ類や青リンゴ、カリンのような風味があり、ロゼはイチゴやラズベリーのような風味が特徴です。

クレマン・ド・ロワールでは、シュナン・ブランやカベルネ・フランを使ったワインが主要な存在で、それぞれが個別の特徴をもっています。

「クール・ド・クレイ」(クレイのハート)は、モンルイの「ドメーヌ・ド・クレイ」が提供する、シャンパーニュ方式によるスパークリングワインのブランドです。トゥール市の東、リュソー・シュル・ロワール村に1893年に創業したこのドメーヌは、同地区最古の生産者のひとつに数えられる老舗です。ピノ・ノワール40%、カベルネ・フラン25%、ピノー・ドーニス20%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%。25ha。テュフォー(白亜(石灰岩)質)の上に砂質粘土質が堆積する土壌。樹齢約50年のVV。シャンパーニュ方式。直接圧搾法によるロゼ化。ステンレスタンクで醸造後、18ヵ月間以上のビン熟成。

ヌーヴェルセレクション

クレマン・ド・ブルゴーニュ

クレマン・ド・ブルゴーニュは、ブルゴーニュの冷涼な気候と多様なブドウ品種の組み合わせにより、フルーティーで上品な酸味を持つワインとして知られています。

そのバランスの良さと多彩な味わいは、食事との相性も良く、ブルゴーニュワインの愛好家やワイン初心者にも人気があります。

ブルゴーニュ地域全体で一貫して重視されているのは「テロワール(土地の特性)」です。それぞれの畑の土壌や地形、気候条件がワインに独自の個性を与えており、クレマン・ド・ブルゴーニュもその特性を反映しています。

たとえば、石灰質の土壌を持つ畑からはミネラル感が際立ち、粘土質の土壌からはフルーティな味わいが生まれます。

クレマン・ド・ブルゴーニュでは特定のブドウ品種にこだわらず、ブルゴーニュ地域全体で多様な品種を使用することが許されています。

そのため、味わいやスタイルは生産者や地域によって異なる場合もあります。クレマン・ド・ブルゴーニュのワインを選ぶ際には、生産者の評判や地域の特性、自分の好みに合った味わいを考慮して選ぶと良いでしょう。

1803年に、ポマールにてワイナリーの礎を気付いたパラン。現在に至るまで品質へのこだわりを捨てず、ブルゴーニュ屈指の生産者となった今でも、歴史と伝統の中から新たな進化を遂げ、12代目となったアンヌ・パラン氏と妹のカトリーヌによって運営されています。

こちらのクレマン・ド・ブルゴーニュは、コート・シャロネーズ地区のピノ・ノワールを使用したロゼ。イチゴなどの親しみやすくフレッシュなアロマ、きめ細やかな泡で口当たりは丸く、酸味と果実味のバランスが取れています。

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クレマン・ド・ジュラ

ジュラ地方は内陸に位置しており、乾燥した大陸気候が特徴です。クレマン・ド・ジュラは、シャルドネを主体として作られ、ドライでエッジの利いた辛口の発泡ワインとして知られています。

ジュラ地方で主要な5つのブドウ品種(ピノ・グリ、ピノ・ノワール、プールサール、トゥルソー、シャルドネ)に加え、地方の土着品種であるサヴァニャンも使用されます。

サクラアワード2023ゴールド受賞 淡い黄金色。爽やかな柑橘系果実の香り。ナッティーなニュアンス。
酸は穏やかで、軽快なボディ。ミネラルが特徴的で冷涼感あふれたクレマンです。

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おすすめの料理とのペアリング

クレマンは食事との相性も抜群です。以下では、さまざまな料理とのペアリングを提案します。

  • サラダとのペアリング: 新鮮な野菜のサラダには、ロワールのクレマンがよく合います。シュナンブラン主体のそのフルーティーな味わいがサラダの軽やかさを引き立て、爽やかな食事体験を提供します。
  • 豚肉料理とのペアリング: 豚肉料理には、ブルゴーニュのクレマンがおすすめです。豚肉の旨味とブルゴーニュのクレマンの豊かな風味が絶妙に調和し、食事をより一層楽しませてくれます。例えば、ローストポークや豚のグリル、豚のリエット、豚肉の唐揚げなどと一緒に楽しむと良いでしょう。
  • パスタ料理とのペアリング: クレマンはパスタ料理とも相性が良いです。特にシーフードパスタやクリームソースのパスタには、アルザスのクレマンがおすすめです。その豊かなフルーツの甘みと酸味が、パスタのクリーミーさや海の幸との相性を高めます。
  • フルーツとのペアリング: クレマンとフルーツの組み合わせは、さわやかで素晴らしいデザート体験を提供してくれます。フルーツの甘みとジュラのクレマンのフルーティーな味わいが相まって、さわやかで軽やかなデザートとして楽しむことができます。特に、ストロベリーやピーチ、マンゴーなどの旬のフルーツとの組み合わせがおすすめです。
  • デザートとのペアリング: クレマン自体がデザートワインとしても楽しむことができますが、デザートとのペアリングもおすすめです。例えば、カスタードクリームやフルーツタルト、ショコラテリーヌなどの甘いデザートと一緒に楽しむと、甘みと酸味のバランスが優れた絶妙な味わいを楽しめます。

甘味(残糖)についても、覚えておこう

スパークリングワインの残糖量を示す7つの段階があります。これらの段階は、ワインの甘さを表す指標となります。

  1. Brut Nature(ブリュット・ナチュール): 残糖がほぼゼロで、非常にドライなワインです。
  2. Extra Brut(エクストラ・ブリュット): 残糖が非常に少なく、極めてドライなワインです。
  3. Brut(ブリュット): 残糖が少なく、ドライなワインです。一般的なスパークリングワインのスタイルです。
  4. Extra Dry(エクストラ・ドライ): 残糖が少し感じられ、やや甘味があります。実際にはセミドライです。
  5. Sec(セック): 残糖がやや感じられ、中程度の甘味があります。セミスウィートに分類されます。
  6. Demi-Sec(デミ・セック): 残糖がかなり感じられ、甘味があります。スウィートに分類されます。
  7. Doux(ドゥ): 残糖が非常に多く、非常に甘いワインです。非常にスウィートなスタイルです。

おわりに

スパークリングワインには、カジュアルに楽しめる要素がありそうです。特別な日にはシャンパーニュを、ちょっと嬉しいことがあった日などには今回お伝えしたようなクレマンたちを入れることで、ワインの選択肢を広げることができるでしょう。

華やかなワインライフが訪れますように。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得

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