ワイン基礎知識、生産地を包み込むキーワード:旧・新・古?
ワインショップなどでもワインを世界で分けていることが多いと思います。今回は、そうしたワイン生産国について…ではなく、もうすこし大きな枠組みとして分類してみましょう。
ワインの世界とは、旧世界、新世界、古代という3タイプ存在します。それぞれの世界に属するワインの特徴についてお話していきましょう。

【旧世界】ワイン─ 古き良き伝統の味わい
旧世界のワインとは、ワイン法という法律に深く結びついています。
フランス、イタリア、スペインなど、ワインの歴史が古く豊かな地域を指します。ここでは、ブドウ品種、栽培方法、地理条件に厳格な規制があります。
フランスでは約2,000種以上の品種が栽培されています。その中でも代表的なものとして、ピノノワール、シャルドネ、カベルネソーヴィニヨンなどがあります。これらの品種は、土地の気候や土壌の特性によって異なる風味を生み出します。
例えば、フランスのブルゴーニュ地方のピノ・ノワールは、繊細な果実味と酸味、豊かな土壌のミネラル感が特徴です。同様に、イタリアのトスカーナ地方のサンジョヴェーゼは、温暖な気候と石灰質の土壌から生まれる力強い果実味とタンニンを持ちます。
また、古くからの伝統的な栽培方法も重要です。
旧世界の生産者は、世代から受け継がれた知識と経験を活かし、手作業で栽培を行います。フランスではブドウの栽培に徹底的な労力をかけ、品質を追求しています。このことが、旧世界のワインの独特な風味と高い評価につながっています。
さらに、地理条件も旧世界ワインの特徴の一つです。フランスやイタリア、ドイツなどのワイン生産地は、山脈や川、海などの自然の要素に恵まれています。これによって、適切な温度や降水量が確保され、ブドウが最適な状態で育つのです。によれば、このような地理的な条件は、ワインの品質や風味に大きな影響を与えます。
作られるブドウ品種に目を向けてみましょう。
旧世界のワインは、伝統的なブドウ品種の使用が一般的です。
異なる品種の特性や風味を最大限に引き出すことに重点が置かれます。例えば、スペインのリオハ地方のテンプラニーリョは、スパイシーな香り、豊かな果実味、滑らかなタンニンが特徴です。同様に、ドイツのモーゼル地方のリースリングは、鮮やかな酸味、花や石のミネラル感、柑橘類のアロマが特徴的です。
長期熟成のポテンシャルも魅力といえます。
これは、ワインが複雑な風味や統合されたタンニンを発展させることができることを意味します。例えば、ポルトガルのドウロ地方のヴィンテージポートは、10年以上の熟成によって濃厚な果実味、甘さと酸味のバランス、エレガントなタンニンを備えた複雑なワインとなります。
同様に、イタリアのトスカーナ地方のブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、20年以上の熟成によって繊細な香り、滑らかな口当たり、上品なタンニンが楽しめるようになります。
これらの特徴を知っておくことは、旧世界のワインはその地域性と伝統の理解に役立ちます。
【新世界】ワイン─ 革新と多様性の追求
新世界のワインは、旧世界の伝統にとらわれず、革新と多様性を追求しています。
新世界のワイン生産国は、主にオーストラリア、アメリカ、チリ、南アフリカなどを指します。彼らは旧世界の伝統を尊重しながらも、自らのアイデンティティや地域の特性を活かしたワイン作りを追求しています。
まず、新世界のワインの特徴の一つは、ブドウ品種の多様性です。
新世界の生産者は様々なブドウ品種を栽培し、異なる風味のワインを生み出しています。例えば、オーストラリアではシラーズ、アメリカではザ・ボークスなど、独自の品種が育まれています。
また、新世界のワイン生産者は技術の革新にも注力しています。
最新のワイン醸造技術や栽培方法を取り入れ、品質の向上を追求しています。例えば、自動化された収穫機や温度制御された発酵槽などが使われています。これによって、効率的な生産と一定の品質の確保が可能になっています。
さらに、新世界のワインは比較的手頃な価格で提供されることが多いです。
新世界の生産者は先ほど示したような生産効率の向上や販売戦略の工夫によって、手ごろな価格帯のワインを提供しています。キャラクターのあるワインをお手頃に手に入れたいなら新世界のワインはねらい目かもしれません。
次に、その味わいにフォーカスを当ててみましょう。
新世界のワインは、その果実味の豊かさが特徴的です。多くの新世界の産地は温暖な気候を持ち、太陽の光をたっぷり浴びたブドウからは濃厚な果実の風味が感じられます。
例えば、オーストラリアのバロッサ・ヴァレー地域で生産されるシラーズは、黒いベリーやプラムのリッチな果実味、スパイスのアクセントが特徴です。同様に、アメリカのカリフォルニアのナパ・ヴァレーで生産されるカベルネ・ソーヴィニヨンは、黒いカシスやブラックチェリーの濃厚な果実味が際立ちます。
力強さも魅力的です。
新世界のワインは一般的にフルボディで、しっかりとした構造を持っています。これは、ブドウの完熟度や濃縮度が高いためです。
例えば、チリのマエポ・ヴァレーで生産されるカルメネールは、豊かな口当たり、しっかりとしたタンニン、コクのあるボディが特徴です。同様に、アルゼンチンのメンドーサ地方で生産されるマルベックは、豪快なフルーツボムのような果実味と力強いタンニンを備えたワインです。
新世界はワイン法の縛りが少ないため、技術の革新と実験的なスタイルの探求が行われています。
新しい醸造技術や樽の使用方法などが取り入れられ、独自の個性を追求しています。例えば、ニュージーランドのマールボロ地域で生産されるソーヴィニョン・ブランは、鮮やかな柑橘系のフルーツや青々とした草の香りが特徴で、そのクリスプな酸味と洗練されたスタイルは世界中で高い評価を得ています。
同様に、南アフリカのスワートランド地域で生産されるピノタージュは、ピノノワールとサンソーの交配種であり、独自のスタイルを持っています。濃密な赤い果実味とスパイシーなキャラクター、豊かなタンニンが特徴であり、独特の個性を表現しています。
これらの要素は、新世界の産地が独自の魅力を持つワインを生み出すことを可能にしています。
【古代の世界】ワイン─ 文明と伝統の息吹を感じる味わい
古代の世界のワインは、その歴史と伝統を現代に受け継いでいます。現代においても、ギリシャやジョージアなどに代表される東欧のワインとして、その独自性と品質によって注目を集めています。
ギリシャのワイン産業は、古代の栄光を現代に蘇らせています。伝統的なブドウ品種や醸造方法が守られながらも、現代の技術やノウハウを取り入れて品質の向上に努めています。ギリシャのワインは、ヨーロッパや世界各国のワイン愛好家によって高く評価され、国際的な賞を受けることもあります。特に、ギリシャ固有の品種であるアシルティコやサヴァトィアーノなどは、その独特の風味と複雑さで知られています。
ジョージアのワインも、古代の伝統を現代に伝える大切な存在です。ジョージアでは、古代からの伝統的な醸造方法が守られ、地中発酵やアンフォラでの熟成といった手法が用いられています。これによって、ワインにはジョージア独特の風味とテロワールの表現が感じられます。ジョージアのオレンジワインやサペラヴィなどの品種は、国内外で高い評価を得ており、ワイン愛好家や専門家の間で人気を集めています。
現代における古代の世界のワインは、その歴史と伝統を大切にしながらも、品質の向上や国際的な市場での競争力を追求しています。
魅力のひとつに、独自のブドウ品種とスタイルを持っていることが挙げられます。特にジョージアでは、伝統的なQvevri(クヴェヴリ)と呼ばれる土製のアンフォラでの醸造が行われており、オレンジワインとして知られる特異なスタイルを生み出しています。また、ハンガリーやルーマニアなどの東欧のワイン産地では、地元のブドウ品種が栽培され、独自の風味やキャラクターが生まれています。
土着品種と、独自の醸造技術を持っている東欧のワインたちですが価格は比較的リーズナブルに属している傾向があります。これは、東欧の一部のワイン産地が比較的新興であるため、ブランドの知名度や需要がほかの産地に比べて相対的に低いことが影響しています。ですが、その品質はほかの産地にも負けない個性を持っており、見かけた際には試してみることをお勧めします。
個人的には、歴史的な興味も相まってギリシャは面白いキャラクターを持っています。
地理的にも多様な土壌や気候条件をもっており、それがワインのスタイルや風味にも反映されています。例えば、サントリーニ島のワインは、火山性の土壌と太陽の光によって育まれたブドウから作られ、ミネラル豊かな白ワインを特徴としています。また、北部のエピロス地方やマケドニア地方では、濃厚な赤ワインが生産されます。
このエリアの残念な部分は、販売されている数が圧倒的に少ないことでしょうか。今の時代はオンラインで探せるようになったのはうれしいことですが…
おわりに
ワインの生産国のおおまかな特徴も含まれている●●世界という表現について、お話してきました。あなたはどの世界のワインが好みが多いか考えてみると、自分の好きなスタイルなども見えてきます。
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