イタリアワインの基礎知識⑤(5/全22地方):北部-ワインと織りなすイタリア中心地の魅力、ロンバルディア地方
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北部イタリアのロンバルディア地方、その広大な土地に広がる葡萄畑が、ワイン愛好者の心を掴んで離しません。気候の多様性、標高の変化、そして情熱的なブドウ栽培農家たちの手によって、この地域のワインは独自の個性と深みを持っています。我々はロンバルディアのブドウ栽培地域から、ユニークな収穫期の秘密、代表的なブドウ品種の特徴、そして各地域ごとのワインの進化に少しでも迫りたいと思います。

ロンバルディア地方
ロンバルディア州は、イタリア国内でその経済の中心地として知られ、特にミラノを中心に発展する金融、ファッション、デザインなどの産業が地元人に誇りを与えています。この州はまた、文化とアートの拠点としても名高く、ミラノは美術館、劇場、歴史的建造物が溢れ、芸術や音楽の分野で先進性を誇っています。
さらに、ロンバルディア州はグルメとワインの楽園であり、地元の高品質な食材とワインが美食家たちに絶大な支持を受けています。最後に、アルプス山脈の一部が広がる自然の美しさが、湖沿いの風光明媚な場所や自然公園を通じて地元人と観光客に癒しと活気を提供している地方です。
La vite e la sua storia ブドウ栽培とその歴史
ブドウ栽培の歴史と起源
ワインの歴史は、ヨーロッパ自生極ヴィティス・ヴィニフェラ・シルベストリスに属するブドウ栽培に端を発します。紀元前7世紀から5世紀にかけて、ラエティア人、アテスティーニ人、エトルリア人などが新しい栽培法を導入し、ロンバルディーアの地域で考古学的な発掘によって確認されています。これらの革新的なアプローチにより、ワイン製造は機能的で確実な方法で進化しました。これらの古代の栽培法の影響により、ワイン生産が発展し、品質向上に寄与しました。
ローマ帝国時代の栄光と衰退
ローマ帝国時代には、ブドウ栽培は有名なラエティアワインを基礎として発展し、文学の巨匠たちによって賞賛されました。しかし、ローマ帝国の衰退と野蛮人の侵略により、ワイン畑は広範囲にわたり見捨てられました。中世初期になるまで修道院の農業によって復活しました。この時期の未熟なワインは品質が低く、品質向上にはフランス人のワイン醸造学との交流が不可欠でした。中世初期の品質低下は主にローマ帝国の崩壊とその後の混乱に起因しており、フランスとの交流が品質の向上に寄与しました。
ワイン製造の進化と試練
1500年終わり頃、ロンバルディーア人はフランス人のワイン醸造学を取り入れ、アルコール度の高い明るいワイン製造と貯蔵方法が広まりました。18世紀には、新しい栽培法が導入され、つるを樹に巻きつけるのをやめ、杭や短く刈り込まれた樹枝に通すことでワインの品質と保存性が向上しました。しかし、この頃にはオイディウム菌、フィロキセラ、ベト病などの病害に見舞われ、多くのぶどうの木が枯死しました。これらの災厄を克服するためには新たな取り組みと技術の導入が不可欠でした。これらの病害に対する取り組みがワイン産業の危機を乗り越え、復興を遂げるきっかけとなりました。
ワインの土地と気候
地形の多様性とワイン生産:ロンバルディーアの地形
ロンバルディーア州は、スイス、ピエモンテ州、エミリア・ロマーニャ州、トレンティーノ・アルト・アーティジェ州、ヴェネト州と隣接しており、その土地は40.5%が山岳、12.4%が丘陵、そして47.1%が平野で構成されています。ポー川流域、ベネト平野、アルプス山脈の中央部分など、地形は山岳部分とアルプス前山地域に分かれ、それぞれ異なる特徴を持っています。前者アルプス山岳は、より高く、クリスタルの岩で形成された一番高い山頂部分、そこに万年雪が存在します。
ところが後者アルプス前山地域は、アルプス山岳ほどは高くなく、より簡素な構造で、石灰岩が中心の、湖を背にしてモレーンから成る起伏が点在しています。 アルプス山脈のレリーフ (突出部分) 北一南方向に伸びる長い渓谷によって奥深く掘り下げられている。
ただヴァルテリーナだけが、縦に配置しており、アッダ川の上流の流れによって畝満を刻む。平野もまた、土地構造や水条件に対して、高い部分と低い部分に於いて再形成される。 高低の境は、水源調節に示されている。いわゆる(地下水の地上への) 湧出や湧き水と言われています。
水とワインの関係:ロンバルディーアの湖とワイン生産
ロンバルディーア州は多くの湖を有しており、これがワイン生産に与える影響は大きいです。湖(みずうみ)、例えばコモ湖やイセオ湖が存在(このほかにも、アッダ川、イオッリョノ川、マッジョーレ湖、ティチーノ川、ルガーノ湖、ガルダ湖、ミンチョ川)することで、気温が和らぎ、冬の寒さが緩和され、ワインの生産に適した条件が整います。地下水の地表への湧出が頻繁に見られ、これがワインの栽培に適している要因となっています。湖の存在が気温を調整し、ワインの生育に適した環境を提供しています。
気候の多様性とワインの品質:気候とワイン
ロンバルディーア州の気候は上記で説明した通り、土地の形態や標高、湖の存在などによって異なります。大きな湖の周りでは冬の気温が温暖であり、山脈の麓地域も日当たりがよく、冬は温暖で湿度が高い傾向にあります。
一方で夏は清々しく風が吹き、気温は快適です。
このようにロンバルディア州の気候は、様々な土地の形態、方位、渓谷の広がり、且つ又異なった日当り、湖の 窪地や氷河地帯をもった標高、その場所にあった顕著な違いのありますが、和らいだ大陸性気候です。 大きな湖のすぐ周りに於いて、貯水池や熱に弱い水の動向に対して、冬の気温は温暖で、オリーブや柑橘類の収穫にも合っています。山脈の麓地域もまた、日がよく当り、平野よりもより高い高度にもかかわらず、とても心地よい気候になります。
冬の気温はかなり温暖で霧はまれで、一日中湿気が多い。一方夏の気候状態は清々しく、よく風が吹く。ヴァルテリーナのような大きいアルペン渓谷の奥部分に於いても、気温は山脈部分とは相反して、十分な温暖さを保持しています。低い平野部に於いては、より大きい年間の温度差(最高気温と最低気温)が見られます。
低い平野部から雨の多い、アルプス山脈全体よりも、更に雨量が多いアルプス前山の地域に行くに従って降水量は増加します。平野部に於いては、年間平均600~800mmの雨が降ります。一方アルプス前山地域のある部分に於いて、降雨量は1500~2200mmに達します。雨降りの状態は1年の内で平均、数ヶ月間乾燥しているものの、80日~100日間となっています。降水の大幅な減少は冬にみられ、一方で、夏は嵐のような豪雨はまれではない。
雪は州全体に降り、一方で、平野部に於いては多量の水面と空気の停滞の為に、霧の発生が非常に多く、これが地域の特徴とも言える。
ロンバルディアのブドウ栽培地域
代表的なブドウ栽培地域とその特徴
ロンバルディア州には複数の代表的なブドウ栽培地域があり、ブドウ畑の約58%は赤ブドウで占められ、残りの42パーセントが白ブドウによって占められています。例えば、Valtellina、Oltrepò Pavese、Franciacortaなどが挙げられます。それぞれの地域は独自の気候や土地条件に基づき、特有のブドウ品種とワインを生み出しています。
Valtellinaの特異性とワイン製造の歴史
Valtellinaはロンバルディア州の中でも特に注目される地域で、その地理的特徴がワイン製造に影響を与えています。標高や地勢が厳しく、ブドウ栽培が難しい条件にあります。
Tirano(ティラーノ) からArdenno (アルデンノ)を流れる Adda(アッダ) 川によって作られた開けた谷間に広がるブドウ畑で、ブドウ栽培とワイン造における重要なオアシスでもあります。この谷間の日がよりあたる右岸の、険しくでこぼこのある斜面にのみブドウ 畑が作られ、対岸にはいくらかのソバ畑があるだけです。岩にかじりついたブドウ畑は、それぞれ石の壁に守られ、ほとんど1000mの高さにまでそびえているが、それは不屈のブドウ栽培農家が背負いかごを肩にかつぎ、成分の同じ土を運んで作られたもの。小さな線路によって苦労が少し軽減されたとはいえ、幾世紀にも渡るブドウ畑の整備、収穫したブドウを肩にかついで運ぶ苦労を経た今もなお、ブドウ栽培に必要な「terrange(テッラング)」といわれる段丘でブドウの栽培がおこなわれる。
Valtellinaでは、このように特有の栽培法が採用されています。これは地形に合わせたワイン製造の工夫であり、Nebbioloなどの代表的なブドウ品種が利用されています。過去のフィロキセラ災害がValtellinaのブドウ栽培に大きな影響を与えました。この危機を克服するために導入された新しい技術とワイン製造の進化が、Valtellinaのワインの品質向上に寄与しています。これが地域のワイン産業の歴史的な転換点となりました。
Oltrepò Paveseの多様性と生産性
Oltrepò Paveseはロンバルディア州の中でも多様なワインが生産される地域の一つです。異なるブドウ品種に基づく様々なワインの種類があり、それに伴う生産性も高い水準(ロンバルディアのワインの70%以上がこの地域の産物。心地よく中甘口かあるいはアーモンドの香りのする赤ワインか、甘口の発泡性赤ワイン、もしくはモスカート種を使ったの辛口白ワイン、そしてSpumante (スプマンテ)の熟練製造)を維持しています。
主要なブドウ品種にはBarbera、Croatina、Pinot Neroなどがあります。これらの品種はそれぞれ異なる特徴を持ち、ワインの風味に多様性をもたらしています。Oltrepò PaveseではSpumante(発泡ワイン)の生産も盛んであり、地域の特色を反映させた高品質なSpumanteが生み出されています。生産者が品質向上に向けて取り組んでいる取り組みには、新しい醸造技術の導入や栽培法の工夫が含まれています。
Franciacortaの成功と微小気候の影響
Franciacortaはロンバルディア州で成功を収めているワイン地域であり、その地理的な利点がワイン製造に大きく寄与しています。Franciacortaの土地改良とワイン製造の相互作用は、地域の成功の一因となりました。
Franciacorta (フランチャコルタ)は、約900ヘクタールの丘陵に広がるブドウ栽培やワイン製造において、非常に恵まれた地域です。この丘陵にはAprica(アプリカ)から吹き Iseo(イセオ)湖を渡る清涼だが穏やかな微風がもたらされ、この風が特にchardonnay (シャルドネ)種、pinot bianco (ビノ・ビアンコ) 種、nero (ピノ・ネーロ) 種といった品種から、驚くほど洗練されて高級なスプマンテを生み出す理想的な微小気候を作り出しています。
考えてみると、ほんの40~50年ほど前にはFranciacorta (フランチャコルタ)の土壌が赤ワイン製造に適しているかどうか、まだまだ議論の余地があると考えられていた。しかし土地を活かそうと長い間努力を続け、そして常に改良の努力を重ねている真剣で熱意ある生産者が実現した小さな、しかし偉大な奇跡は、本当に素晴らしい結果をもたらしました。
ところでFranciacorta (フランチャコルタ)という名前の由来については、この手の話によくあるように全ての疑問が解決されたわけではありません。例えば、税金免除の教会所有地Corti Franche (コルティ・フランケ)または Francae Curtes (フランケ・クルテス) – Corti Franche (コルティ・フランケ)と同じような意味がある説一、もしくは18世紀にこの地方にいたフランス兵によって既に明記されている、税免除のFranca Contea (フランカ・コンテア)がその由来ではないか説などがあります。
Franciacortaでは、chardonnay、Pinot Bianco、Pinot Neroなどのブドウ品種が特に重要視されています。これらの品種がもたらす微小気候の影響が、Franciacortaワインの独自性と高い品質につながっています。Franciacortaという名前の由来には歴史的な背景があり、これが地域の独自性を形成しています。名前に込められた歴史や文化が、Franciacortaワインに特別な価値を与えています。
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