ワイン基礎知識:フィルター有りと無し、どちらがあなたの好み?

ワインの世界には様々な選択肢があり、その中で一つの興味深いテーマが「フィルター有り無し」です。ワインの澄み具合や風味に影響を与えるこの要素について、どちらがあなたの好みに合うのかを探求してみましょう。

本記事では、ワインフィルタリングの基本から、フィルター有りと無しの比較、そして最終的にはあなたの好みを見つけるための試飲について紹介していきます。

1.ワインフィルタリングの基本

フィルタリングは、ワイン製造プロセスにおいて重要なステップの一つです。このセクションでは、ワインのフィルタリングについて解説します。

フィルタリングの目的

フィルタリングの主な目的は、澄んで透明なワインを生み出すことです。新鮮なぶどうから作られたワインには、発酵の過程で浮遊している酵母細胞や微生物が含まれています。この浮遊物質はワインを濁らせ、不透明にします。

また、これらの微生物がワイン内で活動を続けることは、ワインの品質を劣化させる可能性があります。ワインフィルタリングは、これらの不純物を取り除くための効果的な手法です。

浮遊酵母と微生物の影響

浮遊酵母や微生物がワインに含まれていると、ワインの風味や安定性に影響を及ぼす可能性があります。例えば、酵母が残っているワインは酵母特有の風味を持つことがありますが、これは一部のスタイルにはあえて望ましいもののため行っていない可能性もあります。

しかし、多くの場合、消費者は澄んでいて風味に影響を受けていないワインを好む傾向があります。微生物がワイン内で活発に増殖し続けることは、ワインが劣化し、酸敗や不快な風味の発生のリスクを高めることがあります。

フィルタリングの科学的裏付け

フィルタリングは劣化に繋がるリスクを低減させる効果的な方法であることが実証されています。浮遊酵母や微生物は、特定の孔径を持つフィルターを通すことで効果的に除去できます。

この過程において、ワインの化学的特性や風味はほとんど変化しません。したがって、フィルタリングはワインのクリアさを向上させ、同時に風味の安定性を確保するため採用されている方法とも言えます。

次のセクションでは、フィルター有りワインとフィルター無しワインの比較について、それぞれのアプローチの利点と欠点に焦点を当てます。これにより、自分の好みに合ったワインを選ぶ際の判断基準をひとつ増やすことができるでしょう。

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2.フィルター有り vs. 無し

ここからは、澄んでいる程度、風味、安定性の観点から、どちらが優れているのかについて説明します。

澄んでいる程度の比較

フィルター有りワインは、ワインフィルタリングによって微生物や浮遊物質を効果的に取り除いているため、非常に澄んで透明な外観を持っています。これに対して、フィルター無しワインは浮遊物質を取り除かないため、若干濁っていることがあります。テイスティングでも、外観を見る際にワインが澄んでいるのか、濁っているのか確認する項目があります。

風味の比較

フィルター有りのワインは、微生物や浮遊酵母をほとんど含まないため、その風味は比較的一貫しており、初めての飲み手にとっても予測が可能です。

一方、フィルター無しワインは微生物が残存しているため、風味に微妙な違いが生じることがあります。これらの微妙な違いが、ワインの愛好家にとっては魅力的である場合もあれば、好みが分かれる要因となることもあります。

  1. 酵母風味: フィルター無しワインには酵母が残存しているため、酵母の特有の風味が感じられることがあります。これは、パンやドライフルーツのような香りをもたらすことがあります。酵母風味はワインに複雑さを加え、一部のワイン愛好家にとっては魅力的です。
  2. 自然な果実風味: フィルター無しワインは通常、微生物の影響により、より自然な果実風味を保持しやすいことがあります。これは、ワインに新鮮なフルーティネスや柔らかさをもたらす要因となります。
  3. 土壌の影響: 微生物がワインに残ることで、土壌の特徴がより明確に感じられることがあります。これは、ワインのテロワール(土壌、気候、地理などの地域固有の特性)が強調されることを意味し、異なるワイン産地の風味の違いが顕著になることがあります。
  4. 酸度と複雑さ: フィルター無しワインは酸度が高く、複雑な風味を持つことがあります。微生物の活動により、ワインの酸度が調整され、酸味や新鮮さが強調されることがあります。
  5. 複雑なノート: フィルター無しワインは、樽での熟成やセカンドフェルメンテーションにより、クリーミーさや香りの変化が生じることがあります。これは、ワインの複雑な風味要素を増加させ、ワイン愛好家に新たな味わいを提供します。

要するに、フィルター無しワインは微生物の存在により、ワインに独自の風味や香りをもたらし、一部のワイン愛好家にとってはその微妙な違いが魅力的です。しかし、これらの風味要素は個人の好みに依存するため、試飲セッションを通じて自分自身の好みを探求することが重要です。

安定性の比較

フィルター有りワインは通常、微生物が取り除かれているため、ワインの安定性が高い傾向があります。これは、ワインが長期間保存される場合や輸送中において重要です。一方、フィルター無しワインには微生物が残存しているため、安定性に欠けることで、適切な取り扱いが必要です。

それぞれのメリットの明示(小まとめ)

フィルター有りワインのメリット:

  1. 澄んで透明な外観: フィルター有りワインは微生物や浮遊物質がほとんど取り除かれているため、非常に澄んでいて透明な外観を持ちます。これは視覚的な楽しみとして重要で、特に白ワインやロゼワインに適しています。
  2. 風味の安定性: フィルター有りワインは微生物が取り除かれているため、風味の安定性が高い傾向があります。これは長期間の保管や輸送に適しています。
  3. 一貫性のある風味: フィルター有りワインは一般的に風味に一貫性があり、異なるボトル間での違いが少ないです。これはブランドやワイナリーごとの一貫性を提供しやすく、消費者にとって予測可能です。

フィルター無しワインのメリット:

  1. 独自の風味: フィルター無しワインは微生物の存在により、独自の風味と香りを持ちます。これはワインの複雑さを高め、一部の愛好家にとって魅力的です。
  2. 自然な果実風味: フィルター無しワインはより自然な果実風味を保持し、新鮮さを提供します。
  3. テロワールの強調: フィルター無しワインはテロワールの特性をより強調し、地域の個性が感じられることがあります。

3.愛好家のためのセッション

試飲の重要性

当たり前だと言われるかもしれませんが、試飲することは愛好家にとって大切です。なぜなら、あなたの好みを理解することは、ワインを選ぶ際に非常に役立つからです。そこに、フィルター有りと無しのワインの風味や特性を直接比較することで、どちらがあなたの舌に合うかを加えることで多様なワインの発見ができるようになるでしょう。

個人の好みの発見

各ワインの外観、香り、味わいを注意深く評価し、どちらが自分の好みに合致するかを考えます。風味の違いや澄み具合の違いが、あなたがどのワインを選ぶべきかヒントになるでしょう。

最終的には、誰かの好みではなくあなたの好みに合わせてワインを選ぶことが最も大切なことです。フィルターの有無、どちらが優れているとは一概に言えません。

実際に試飲を通じて、自分の好みを見つけ、それに合ったワインを見つけながら、試しながら楽しむことが、愛好家にとって経験となることでしょう。

記事を書いた人

しょうたろう
しょうたろう
ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得