ワイン基礎知識:オレンジワインの魅力(歴史や風味の探訪)
オレンジワインは、その名前から連想されるようなオレンジ果物ではなく、白ぶどうの魅力を引き立てるワインです。皮と種を含めたまま発酵させる製法によって、独特の風味と複雑さが生まれます。
この記事では、このオレンジワインの定義から製法、風味など魅力的な世界を探求していきます。あなたとワインとの出会いをお手伝いできれば幸いです。

A.オレンジワインの謎に迫る
1.オレンジワインとは?
- オレンジワインの定義: オレンジワインは、その名前から誤解されがちですが、実際にオレンジという果物で作られるものではありません。オレンジワインは、白ぶどうから作られる白ワインの一種で、果汁と一緒に皮と種を発酵させることで深いオレンジ色を持つワインとなります。これにより、通常の白ワインとは異なる風味が生まれます。
- 製造プロセスの詳細: オレンジワインの製造プロセスはユニークで興味深いものがあります。まず、白ぶどうを収穫し、果汁を抽出します。その後、この果汁に皮と種を含めたまま大きな容器(通常セメントやセラミック)に入れます。このスキンコンタクト(皮との接触)は、オレンジ色を形成し、特有の風味を生む過程です。さらに、オレンジワインの製造は通常、酵母などの添加物をほとんど使用しない自然なプロセスを採用します。このため、酵母由来の風味が少なく、酸味やナッツのニュアンスが引き立ちます。
2. オレンジワインの風味と特徴
- 風味の説明: オレンジワインの風味は他のワインとは異なる要素が含まれています。一般的にロバスト(頑固・強靭)で大胆な特徴を持ち、ハチミツのようなジャックフルーツの香り、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、傷ついたリンゴ、木材のワニス、亜麻仁油、ユニパー、サワードウ、乾燥オレンジの皮などのニュアンスを持っています(飲んだことがある方は想像しやすいと思いますが…)。また、口に含むと大きく、乾燥したオレンジのような酸味を伴い、赤ワインのようなタンニンも感じられます。その風味はしばしば非常に濃縮されているため、初めて試す際には注意が必要です。
- 飲む際の注意点: オレンジワインを試す際には、その独特の風味と酸味を考慮に入れることが肝要です。このワインは同じ白ブドウを用いた白ワインとは異なるため、異なる料理やシチュエーションに合うことがあります。飲む前に熟考し、食事との相性を検討することをお勧めします。
3.食事との相性
オレンジワインはその独自の風味と特性から、さまざまな料理と素晴らしい相性を示します。このワインがどのような料理とハーモニーを奏でるかについて、その背後を考えながら例で見ていきましょう。
- カレー: カレーのスパイシーで香辛料の効いた味わいは、オレンジワインの豊かな風味と相性が抜群です。オレンジワインの酸味が辛さを引き立て、ハチミツのような香りがスパイスと調和します。
- モロッコ料理: モロッコ料理は甘味とスパイスが絶妙に組み合わさった料理が多く、オレンジワインの風味と甘味がこれらの料理と絶妙にマッチします。特に、タジン料理との組み合わせはおすすめです。
- エチオピア料理: エチオピア料理は独自の風味とテクスチャを持ち、オレンジワインの酸味と複雑な風味との組み合わせは素晴らしい調和を生み出します。インジェラ(エチオピアの発酵パンケーキ)やスパイスの効いた料理との相性が良いです。
- 韓国料理: キムチや発酵食品を多く使用する韓国料理とオレンジワインは驚くほど良く合います。オレンジワインの酸味が辛さと発酵食品の風味を引き立て、調和させます。
- 伝統的な日本料理: 伝統的な日本料理とオレンジワインも相性が抜群です。特に、寿司や刺身によく合います。オレンジワインの酸味が魚の新鮮さを引き立て、美味しさを際立たせます。
このように、スパイス系の料理とも相性が良いと思いますしその中でも甘味を感じるような料理とは相性が良いことが分かると思います。
次のセクションでは、オレンジワインの起源や人気に迫ります。
B.オレンジワインの起源と現代の人気
オレンジワインの歴史
- 古代からの伝統: オレンジワインの歴史は古代にさかのぼります。特に、カフカース地域(現代のジョージア)での製造方法が古代から続いています。約5000年前、この地域では大きな地下の容器である「クヴェヴリ(Kvevri)」が使用され、ぶどうが皮と種を含めたまま発酵しました。これらの伝統的な製法は、オレンジワインの源流であり、今日の製造方法にも影響を与えています。
- 現代への復活: オレンジワインは最近再び注目を浴びています。その背後には、自然な醸造プロセスに対する新たな関心や伝統的な製法への回帰があります。ワイン愛好家や製造者は、オレンジワインの多様な風味や特性に魅了され、これらのワインの復活と普及に努力しています。この動きは、ワインの多様性と独自性を尊重し、新しいフレーバーを探求することを奨励しています。
2.オレンジワインの生産地
- イタリア: イタリアはオレンジワインの生産地として著名で、主要な生産者がいます。特に、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア地域でサウヴィニョン・ヴェール(フリウラーノ)、リボラ・ジャッラ、ピノ・グリジオなどの現地のぶどう品種を使用してオレンジワインが生産されています。1997年にはジョスコ・グラヴナー(Josko Gravner)によってオレンジワインがイタリアで広められました。
- スロベニア: イタリアとの国境に近いスロベニアでもオレンジワインが生産されており、特にゴリシュカ・ブルダ(Goriška Brda)地域が知られています。この地域ではオレンジワインが一般的で、そのワインは通常ビールのような標準的なグラスで提供されます。
- ジョージア: ジョージアはオレンジワインの起源地であり、伝統的な製法が今も受け継がれています。クヴェヴリでの発酵はジョージアで非常に一般的で、その土地のぶどう品種である「ルカツィテリ」を使用して、オレンジワインが生産されます。
- アメリカ: アメリカでもオレンジワインの製造が増加しており、特にニューヨーク州で「ルカツィテリ」ぶどう品種を使用した実験的なプロデューサーが存在します。彼らはオレンジワインの製造方法に挑戦し、新たな風味を探求しています。
- オーストラリア: オーストラリアの進歩的なワイン製造者は、特にソーヴィニヨン・ブランを使用してオレンジワインを生産しており、このスタイルのワインに革命をもたらしています。
- フランス: フランスではジュラ地域がオレンジワインの生産に関連しており、ジュラのワインであるヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)やコート・デュ・ジュラ(Côtes du Jura)は、オレンジワインのような風味を持ちます。特にサヴァニャンやシャルドネぶどう品種を使用したワインは、このスタイルに合致しています。
- 南アフリカ: 南アフリカではスワートランド地域が主にオレンジワインの生産地として知られており、古くからのぶどう品種が使われています。南アフリカのオレンジワインはその地域特有の風味を反映しており、ワイン愛好家に新たな体験を提供しています。
3. オレンジワインの未来
今後の展望: オレンジワインの未来は非常に明るいです。このスタイルのワインはワイン愛好家の間でますます人気を集めており、新しい製造者が登場し、さまざまなぶどう品種と製法を探求しています。オレンジワインはワインの多様性と独自性を強調し、未来のワイン業界で一層重要な位置を占めることでしょう。
エンディング
オレンジワインの旅が楽しいものであったことを願っています。この特別なワインは、その風味、歴史、そして多様性において、ワインの新たな次元を開いています。
オレンジワインは、伝統と革新が絶妙に調和した一杯であり、今後のワイン業界でも独自のスタイルとして注目を浴びることでしょう。もしまだ味わったことが無いという方は、新しい味わいやスタイルを探求し、新しい料理との組み合わせを試すことで、ワインの楽しさが広がるでしょう。
皆さんのワインの冒険が豊かなものであることを願っています。乾杯っ!
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