ワインの醸造⑦:酸化防止から濾過まで
ワインの製造プロセスは、品種ごとに異なるアプローチを取ります。特に、シャルドネやピノ・ノワールなどのワイン品種は、醸造において独自のポイントと課題を持っています。ここでは、ワイン醸造の舞台裏に迫り、その重要な要素を探求します。

ワイン醸造
ワインの製造プロセスは、品種ごとに異なるアプローチを取ります。特に、シャルドネやピノ・ノワールなどのワイン品種は、醸造において独自のポイントと課題を持っています。ここでは、ワイン醸造の舞台裏に迫り、その重要な要素を探求します。ここでは、シャルドネワインの醸造プロセスに焦点を当て、その複雑さと美しさに迫ります。
シャルドネの醸造プロセス
シャルドネは、その品種特有の特性を活かすために、慎重な醸造プロセスが必要です。収穫後、注意が必要なのは果汁の取り扱いです。果実は慎重に搾り、果皮や種子からの苦味を避けるために注意深く処理されます。特にブルゴーニュ地域でのシャルドネ醸造は繊細さが求められ、果汁の品質は最優先事項です。
デブルバージュの役割
デブルバージュは、澄んだ果汁を得るための重要な工程です。圧搾後、果汁は「かす」と呼ばれる固形物を含んでいます。デブルバージュの適切なタイミングと処理によって、これらのかすが沈殿し、クリアで高品質な果汁が得られます。デブルバージュの時間は醸造者ごとに異なり、適切なタイミングを見極めるスキルが必要です。
発酵前のデブルバージュ管理
発酵前のデブルバージュの完了は、発酵プロセスに重要な影響を与えます。発酵が始まる前にデブルバージュが完了する必要があり、このタイミングを正確に管理することが醸造者のスキルとして求められます。適切なデブルバージュ管理によって、ワインの風味や味わいが形成され、高品質なワインが生み出されるのです。
ワインの味を守る酸化防止
ワインの美味しさを守るためには、酸化を防ぐ必要があります。この項では、ワインが酸化するメカニズムと、その酸化を防ぐ方法に焦点を当てていきます。
ワインの酸化メカニズム
ワインは酸素と接触することで酸化します。特に白ワイン、その中でもシャルドネは酸素に敏感で、酸化によって風味や香りが損なわれ、不快な味わいになります。酸化はワインが長期間保管される際やワインボトルが適切でない状態で保管される場合によく起こるものです。
二酸化硫黄の役割
二酸化硫黄は、ワインの酸化を防ぐ材料として知られています。ワインに「亜硫酸塩含有」と表示されている場合、それは二酸化硫黄の使用を示しています。二酸化硫黄は酸化の防止だけでなく、ワイン製造全般において多くの役割を果たします。果実の収穫から瓶詰めまで、硫黄はワインの品質を守ります。
硫黄の歴史
硫黄は古代からワイン製造に使用されており、その効果は非常に有益です。硫黄はワインの特効薬として使用され、ぶどうの木に散布して病気を予防し、醸造所で滅菌に役立ちます。硫黄は、ワインの保存や酸化防止にも不可欠な成分です。
ワインの貯蔵
ワインの貯蔵がワインの味に与える影響について考えてみましょう。ワインの貯蔵は、熟成の過程において風味形成に重要なステップです。
樽での熟成
ワインの貯蔵において、樽は魔法の道具といえるでしょう。ワインは樽内で熟成され、このプロセスによってワインに複雑な風味が付加されます。樽内では、ワインが酸素と接触し、木材から風味成分を吸収します。このプロセスが、ワインにバニラやスパイスのニュアンスを与え、まろやかで複雑な風味を醸し出すのに貢献します。
樽の材質
樽の材質はワインの風味に大きな影響を与えます。特にオーク材は広く使用され、ワインに独自の風味を与えるために選択されます。オーク材はさまざまな種類があり、それぞれ特有の風味をもたらします。フレンチオークやアメリカンオークなど、異なるオーク材の組み合わせによって、ワインの味わいが変化します。
樽のサイズ
樽のサイズもワインの貯蔵に影響を与えます。一般的に、樽のサイズが小さいほど、ワインとの接触面積が大きくなり、酸素との接触が増えます。これにより、ワインは早く熟成し、風味が豊かになります。一方、大きな樽を使用すると、ワインはゆっくりと熟成し、より滑らかな味わいが生まれます。適切な樽のサイズを選ぶことは、ワイン製造者にとって重要な決定です。
樽-小まとめ
1. 樽の材質:
- オーク樽: オークは最も一般的に使用される樽の材質で、フレンチオーク、アメリカンオークなどの種類があります。オーク材はワインにバニラ、スパイス、トースト、ナッツのような風味や香りを与えます。これにより、多くの赤ワインと一部の白ワインに複雑さと構造が加わります。フレンチオークは繊細な風味を提供し、アメリカンオークは力強いバニラやココナッツのニュアンスをもたらします。
- チェリーやアカシアの樽: 一部のワインメーカーはオーク以外の材質の樽を使用します。チェリーやアカシアの樽は、オークよりも控えめな風味を提供し、ワインの果実味を引き立てることがあります。
2. 樽のサイズ:
- バリック (バレル): バリックは最も一般的な樽のサイズで、通常約225リットルの容量を持ちます。小さなサイズのため、ワインと木材との接触が多く、樽の効果が速く現れます。これにより、風味がワインに迅速に移行し、複雑なワインが生み出されます。
- ホッグスヘッド: ホッグスヘッドはバリックよりも大きく、約225リットルから300リットルの容量を持ちます。ホッグスヘッドを使用することで、ワインと木材の接触が少なく、風味がよりゆっくりとワインに浸透します。これにより、ワインにより柔らかな風味が広がります。
- パンチョン: パンチョンは大型の樽で、通常、400リットル以上の容量を持ちます。これらの樽は主に白ワインの熟成に使用され、ワインに新樽の風味を与えながらも、より穏やかでバランスの取れた影響をもたらします。
透明さと風味 – ワインの濾過
ワインの濾過に焦点を当て、ピノ・ノワールや白ワインの濾過に関連する特異性について考えていきます。濾過剤の選択と濾過のプロセスについて解説します。
ピノ・ノワールの特異性
ピノ・ノワールのワインは、その繊細な性格からくる特異性があります。この品種のワインは、濾過に非常に敏感であり、濾過によって風味や味が失われる可能性があります。したがって、ピノ・ノワールの場合、慎重な濾過プロセスの選択が必要です。濾過が行われる際に、どの程度の濾過が適切であり、ワインの特性を損なわずに不純物を取り除くかを理解することが重要です。
白ワインの透明さ
白ワインはその透明さが重要です。消費者は透明な白ワインを好みますし、透明さはワインの品質を示す指標の一つとされています。濾過はこの透明さを実現するために不可欠なステップです。ただし、濾過過程で風味成分が過度に削られることなく、透明さを保つ方法についても議論します。
濾過剤の選択
濾過剤の選択は、ワインの風味と品質に直接影響を与える重要な決定です。卵白やベントナイトなど、様々な濾過剤が使用されます。これらの濾過剤にはそれぞれ特有の性質があり、ワインの特性に適したものを選ぶ必要があります。選択した濾過剤がワインの風味にどのような影響を与えるかを理解し、最適な選択を行うことがワイン製造者にとって大切です。
- 卵白 (アルブミン): 卵白は伝統的な濾過剤の一つで、非常に吸着性が高く、微細な浮遊物を取り除くのに効果的です。また、ワインの風味にほとんど影響を与えません。しかし、使用しすぎるとワインの風味を抑えることがあるため、注意が必要です。
- ベントナイト: ベントナイトは微粒の粘土で、非常に効果的な濾過剤です。微細な粒子を取り除く能力に優れており、ワインの透明さを高めます。ただし、卵白とは異なり、ベントナイトの過度の使用は風味に影響を与えることがあります。適切なバランスが必要です。
- セルロースフィルター: セルロースフィルターは、紙の濾過材でできており、微細な浮遊物を捕らえるのに適しています。そのため、ワインを透明に保ちつつ、風味の損失を最小限に抑えることができます。セルロースフィルターは比較的安価で効果的な選択肢です。
- 遠心分離機: この機械は、遠心力を利用して固形物をワインから分離するために使用されます。非常に迅速で効果的ですが、適切な操作が必要であり、不注意な使用は風味を損なう可能性があります。
記事を書いた人

- ワイン愛好家に向けて2023年よりWebサイト「WINE自習室」でワインの魅力を発信。エレガントな赤、アロマティックな白ワインが好み、最近は陽気なイタリアワインがお気に入り、ワインを飲むのが楽しくなる情報をたくさん配信できるよう頑張ります。J.S.Aワインエキスパート2020年取得
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